中国・習近平氏が表明した「産業システムの改善」には「産業構造」が必要
日本のバブル期と同じ状況になりつつある中国
飯田)産業構造の転換というのは、いままで外需に頼っていたのを内需に変えるということですか? 宮家)そうです。本当はお金をばら撒けばいいのですが、習近平さんはやりたくないのです。文革時代にひもじい思いをしたし、党のイデオロギーから考えても、そういったバラマキは戒めているという話を聞きます。でも、マクロ経済的に考えれば、絶対に内需を拡大しなくてはならず、そのためには財政支出が必要ですよね。それができないのか、やりたくないのかはわかりませんが、十分にやっていないという指摘はまだあるようです。 飯田)財政支出を。 宮家)日本が嵌まった1990年代の失われた30年と同じだと言うつもりはありませんが、これはもう悪循環であり、似たような状況が起きています。10年くらい前、中国の人たちは「我々は日本のバブル崩壊を徹底的に研究しているから、同じような間違いは繰り返さない」と言っていたのですが、「やっぱり、日本と同じではないか」と言える状況になってきたと思います。 飯田)財政支出を。 宮家)日本が嵌まった1990年代の失われた30年と同じだと言うつもりはありませんが、悪循環であり、似たような状況が起きています。10年くらい前、中国の人たちは「我々は日本のバブル崩壊を徹底的に研究しているから、同じような間違いは繰り返さない」と言っていたのですが、「同じではないか」と言える状況になってきたと思います。
台湾を統一するには武力行使せざるを得ない中国
飯田)今回の全人代では、台湾に関する表記で(従来の)「平和統一」から「平和」という表現が消えたなど、いろいろなことが言われています。周りの国々は警戒しますよね。 宮家)気持ち程度に抜いたのでしょう。ただ、統一が平和につながるとは思えません。そもそも、台湾がいまの中国と一緒になりたいと思うでしょうか? 飯田)台湾側の世論調査などを見ると、そうは思っていないですよね。 宮家)「平和的に統一する」ということは、中国のシステムを受け入れるということです。それは無理だと思いますし、私だって嫌ですよ。台湾も10年くらい前なら、「中国経済に飲み込まれるのも仕方ないかな」と人々が思う時期があったかも知れません。しかし、彼らも香港やウイグル、チベットなどを見ています。台湾の人たちは自由を謳歌し、日本よりもきちんと政権交代しているので、民主主義のシステムです。きちんと民主主義をやっている人たちが、中国大陸のやり方を受け入れたいとは思わないですよね。