福井の住職、米3都市の寺で「テクノ法要」 宗教や人種を越えて平和の願い共有
福井県福井市の照恩寺住職、朝倉行宣さん(57)が9月に渡米し、3都市の寺院で、浄土真宗の法要とテクノサウンドの演出を組み合わせた独自の「テクノ法要」を披露した。2001年9月の米中枢同時テロから23年となった9月11日にはニューヨークで法要を営み、「人類共通の平和の願いを宗教や人種を越えて共有できて、胸がいっぱいになった」と話している。 9月11日、ニューヨークでテクノ法要を営む朝倉さん テクノ法要は、20代に県外でプロDJをしていた朝倉さんが、若い世代が寺院に足を運ぶきっかけになればと16年に始めた。本堂内に極楽浄土をイメージしたハスの花などのCGを投影し、テクノサウンドのリズムにのせて読経するスタイルが評判となり、県内外に招待されて法要を営む機会が増えていった。 今回の渡米は、新型コロナウイルス禍の中、交流サイト(SNS)で米国仏教会の開教使(僧侶)と知り合ったことがきっかけ。米国でも若者の宗教離れが進んでおり、テクノ法要でアピールしてほしいと招待された。 「音楽の公演ではなく、あくまでも仏教への入り口を広げる取り組み」と、法話も交えてテクノ法要を続けている朝倉さん。海外のイベントで披露した経験はあったが、海外寺院の招待は初めてで、米国側とやりとりを続けて約1年がかりで準備を進めた。 9月4~20日に東海岸のニューヨークから西海岸のロサンゼルス、サンノゼまで飛び回り、11日のニューヨークを含めて計9回の法要を営んだ。多くの若者が初めて寺院を訪れ、高齢者もテクノサウンドに体を揺らし、「こんなに楽しくお念仏したのは初めて」と笑顔を見せたという。 朝倉さんは「国籍や世代を超え、心の共有を感じた。米国の多くの人に仏教を受け入れてもらって充実した渡米になった」と話している。
福井新聞社