近江・山本大悟外野手 天国の“第二の母”へ快音
「選抜高校野球・1回戦、熊本国府2-1近江」(18日、甲子園球場) 天国にいる“第二の母”へ、甲子園から快音を響かせた。近江で副寮長も務める山本大悟外野手(3年)が七回先頭で左前打を記録。「ちょっとでも届いたかな」と空へと思いをはせた。 【写真】天国の“第二の母”へ快音!遺影が選手の手でアルプススタンドに 今年1月上旬に寮母としてお世話になっていた窪田満智子さんが急逝(享年76)。全国高校選手権で準優勝を果たしたサッカー部の応援にも東京まで駆けつけていたものの、体の不調によって突然帰らぬ人となった。亡くなった次の日の夜の点呼で山本は訃報を知った。「あんなに元気だったので。本当にお母さんみたいな存在で。その人のおかげでやってこられた」。和歌山県出身の山本にとって、親元を離れた寮生活は不安だらけ。心の支えになっていたのが満智子さんだった。 けがをした時には病院まで付き添ってもらい、「諦めずに頑張りなさい」とエールをもらった。夏には満智子さん特製のかき氷を口いっぱいに頬ばった。もらった背番号は満智子さんに縫い付けてもらった。この日はスタンドの仲間が満智子さんの遺影を持って応援。寮生の中では「満智子さんの分まで頑張ろう」がこの春の合言葉となっていた。 敗戦も山本に涙はなかった。「泣きかけなんですけど、ここで泣いたら前を向けない。悔しさをバネにして夏は満智子さんに1勝を届けたい」。最後の夏は天国に聖地の白星を届けてみせる。