米ブラックストーン、富裕層向け事業で欧州2市場参入へ
Iain Withers [ロンドン 4日 ロイター] - 米プライベートエクイティ(PE)企業のブラックストーンが、富裕層向け商品を取り扱うプライベート・ウェルス事業を、欧州の少なくとも2市場で新規参入する計画であることが分かった。同社幹部2人がロイターに明らかにした。 市場が不安定で、PE企業が顧客層を機関投資家以外へ広げようとしている中で、ブラックストーンは個人富裕層からの資金獲得を重要な優先事項と位置付けている。 ブラックストーンのプライベート・ウェルス事業の欧州での拠点はロンドン、パリ、チューリヒ、ミラノ、フランクフルトにある。新たに参入する市場については明言を避けた。 ブラックストーンのプライベート・ウェルス事業の富裕層向け商品の最低投資額は1万―2万5000ドルで、預かり資産は現在2500億ドル規模と2020年の1030億ドルから拡大した。これはブラックストーンの総資産1兆1000億ドルの23%に相当する。 ブラックストーンの幹部らによると、同社の欧州のプライベート・ウェルス事業でフランスとイタリアが最も大きく伸びている一方、英国は成長が鈍化している。 ブラックストーンのプライベート・ウェルス・ソリューション・グループで欧州・中東・アフリカ(EMEA)担当のトップを務めるラシュミ・マダン氏は「ここは欧州合衆国ではない。ずっと複雑であり、(ブラックストーンは)それを理解していると思う」と指摘。一方、プライベート・ウェルス市場への投資を促進するためであることに英国を含めた欧州全体で規制改革が進んできたことは「前向きの兆候」だとし、「欧州では長期投資が重要だという認識が広まりつつある」と語った。 事業拡大に向けてブラックストーンは、シーラ・ラップル氏をEMEAのプライベート・ウェルス担当の最高執行責任者(COO)に昇格させた。 ラップル氏はロイターに対し、欧州には「大きなチャンスがあると思う」と述べた。