これが令和の教育現場。ICT化で生徒の健康管理、いじめの早期発見。そして教員の働き方改革も
コロナ禍で生まれた健康管理のツール。これを教育現場で使えないか
この東京都で導入されているツールは株式会社ミライト・ワン・システムズの「コンレポ for education」。担当者であるデジタルイノベーション事業本部長の増木洋介氏に話を聞いた。 まずコンレポシリーズ及びコンレポ for educationの開発に至った経緯を教えてください。 「2020年のコロナ禍が始まった当初、弊社(前身である株式会社ミライト)でも社員のテレワークを余儀なくされました。その際に社員の健康状態を把握するにあたっては人事部がメールで集めて社長に報告という形を取っていました。それでは効率が悪いということでツールを使ってみようかということになりまして、データを収集するためのシステムを作ってみました。これが始まりです。まずは弊社の社員の健康管理が目的だったんですが、コンレポというのは“コンディションレポート”の略なので、人のコンディションという意味では、工場とか別の仕事でも使えるのではないかと思いました。企業の中では“上司と部下”ですが、教育現場での“先生と生徒”でも使うことができると思い、開発を進めて教育の現場でご利用いただくに至りました」 実際に使ってみて手応えがあったということですね? 「やはり集計などは面倒な作業ですから。弊社でいえば、健康状態の集計結果を即、経営会議で報告して状況を把握していました。あと一時は在宅勤務は何割くらいなのかを把握するためにも使っていました。レポートの中では、在宅、出社、またはそれ以外の場所で仕事をしているのかといった出勤場所のデータも取れますので、在宅率が今どうなっているのかということを把握することもできます」
厚生労働省の発表によると2022年の小中高校生の自殺者数は初めて500人を超え、過去最多の514人に上り、先日発表された2023年の自殺者数も513人と横ばい。その原因については「不詳」を除くと「家庭問題」「学校問題」の割合が高く「家庭問題」というのは「家族からのしつけ・叱責」、「親子関係の不和」といったものが挙げられる。「学校問題」については「その他学友との不和」「学業不振」、高校生になると「進路の悩み」、女子では「健康問題」というものも浮上してくるようだ。 この中の「その他学友との不和」というのは言わずもがなだろう。高校生になって浮上してくる「健康問題」の中には精神的なものが含まれることは想像に難くない。また教師については業務過多がしばしばニュースでも取り上げられるように人手が足りていない状況。そういった中でのICT化の導入は合理的な話。また2019年に打ち出された「GIGAスクール構想」では全国の児童・生徒1人に1台のコンピューターと高速ネットワークを整備することを目標に掲げたのだが、コロナ禍でしばしばニュースになったようにその使用度合いは各校でばらつきがあった。このコンレポfor educationは配布されたタブレット端末を有効に活用するきっかけにもなり得そうだ。