「久保建英が調子を落としているのは誰が見ても明らか」とスペイン人記者 フィジカル面だけでなくメンタル面でも「大きな痛手を負っている」
【ラ・レアルの目標は欧州カップ戦出場】 2大会から敗退し、ラ・リーガに専念しているラ・レアルが次に掲げる目標は、イマノル・アルグアシル監督が言うように「再び欧州カップ戦に参加する」ことにほかならない。 とは言え、永遠のライバルであるアスレティック・ビルバオの快進撃により、CLへの再挑戦は手の届かないところにあると思われる。そのため主な目標はヨーロッパリーグの出場権を獲得すること。もしそれができないなら、カンファレンスリーグに出場することだ。 欧州カップ戦に出られるかどうか――。クラブの予算に大きな影響を与える出場権の有無は、来シーズンのメンバーの顔ぶれに大きく影響を及ぼすことにもなる。 今月下旬のインターナショナルブレイクはチームのエネルギーを回復させる重要な役割を持つはずだが、12人が代表チームに招集されているレアル・ソシエダにとってはそうはならないかもしれない。 それでも低迷が続いていたチームにとって、グラナダ戦とカディス戦の勝利は、大きな自信を持って残りのシーズンに臨むためのターニングポイントになるだろう。 また久保にとってカディス戦はラ・レアル加入後、公式戦(2022年8月)で初めて得点を決め、サポーターの信頼を得た特別な相手。その試合に勝利を手にすることができたのは、自身の目標に向かって戦い続けるのに役立つはずだ。
【久保のポジションはベッカー、ザハリャンに脅かされる?】 もしかしたら、調子を落としている久保がレギュラーとして起用され続けることに、疑問を持つ者がいるかもしれない。その場合、今冬の移籍市場でやって来たシェラルド・ベッカー、昨夏加入したアルセン・ザハリャンという、久保とタイプの違うふたりに注目が集まる。 久保と同じ右サイドを本職としながらも、攻撃のあらゆるポジションでプレーできるベッカーは、カディス戦に左ウイングで先発出場。まだチームに完全にフィットしているわけではないが、類稀なスピードを武器に大きな可能性を感じさせている。 FWというよりもMFに近いタイプであるテクニシャンタイプのザハリャンは、久保のバックアップをよく務めている選手。徐々に出場時間を増やし、カディス戦で久保との交代直後にラ・レアルでの初得点を挙げたことは、今後の自信につながるだろう。 ふたりともシーズンが佳境に入るこの時期に存在感を高めているが、私は現時点で久保がレギュラーの座を脅かされることはないと思っている。しかし、今のようなパフォーマンスが続くようなら当然、イマノルが何らかの処置を施し、ベンチスタートになる場合もあり得るだろう。 久保が2022年夏にラ・レアルデビューを果たした時、それまでに所属していたクラブでの実績を考えると、彼の先発起用には疑問符が付いていた。しかしそれも過去の話。今のところ、彼がレギュラーで出ることに議論の余地はない。その証拠にここまでずっと重要な試合で先発し続けている。 またラ・レアルとの契約を2029年まで延長したのは、クラブの揺るぎない信頼を示すものだ。サポーターも彼に大きな信頼を寄せており、来シーズンもチームの柱のひとりであり続けることを歓迎するだろう。 調子を崩している久保がこの後、代表戦に参加するのは気がかりだが、国王杯とCLに敗れて過密日程から解放されたことは不幸中の幸いと言えよう。サン・セバスティアンでは皆が、5季連続の欧州カップ戦出場権が懸かるラ・リーガの残り9試合でベストの状態に戻ってくれると信じている。(髙橋智行●翻訳 translation by Takahashi Tomoyuki)
イケル・カスターニョ・カベージョ●取材・文 text by Iker Castaño Cabello