錦織流 世界ランクの考え方──「去年のランキングポイントは意識しない」
週明けの最新ランキングでラファエル・ナダルが4位に落ち、アンディ・マレーが3位に浮上した。 ナダルがトップ3から落ちたのは一昨年の8月以来。先週、連覇のかかったリオデジャネイロでベスト4に終わったのが原因だが、昨年後半の実践不足の影響か、ナダルはまだまだ本調子ではない。“ビッグ3”の構図がランキング上いったん崩れ、今後の勢力争いはますますわからなくなってきた。
そこでもっぱら注目されているのが錦織圭のさらなる上昇だ。現在5位。ランクを上げれば、それはアジア男子にとっての史上最高位、新たな輝かしい歴史になるのだから目がいって当然だろう。 錦織の保有ポイントは5,205で、一つ上のナダルとは220ポイント差、マレーとは255ポイント差である。1位のノバク・ジョコビッチと2位のロジャー・フェデラーの差が3,840ポイント、フェデラーと3位のマレーの差が3,745ポイントあることを考えれば、この3位から5位、さらには6位のミロシュ・ラオニッチ(4,980ポイント)も含めた争いは、今週の結果がすぐに順位の変動に影響するという目が離せない状況だ。 錦織が先週のメンフィスで昨年の優勝ポイントをディフェンドした時点で、次戦で一気に3位へ浮上するという可能性は報じられていたが、ナダルの先週の敗退により、それがいっそう現実に近くなった。錦織が今週出場するのはアカプルコの〈500〉。マレーは同じ〈500〉のカテゴリ-であるドバイに、ナダルは〈250〉のブエノスアイレスに出場するため、直接対決が一切ない中での戦いとなる。 錦織には有利な点がいくつかある。まずは失効ポイントがないこと。マレーは昨年アカプルコで得た180ポイントを失う。つまり、今週の獲得ポイントだけ見るなら錦織がマレーを75ポイント上回れば追い抜くということだ。75ポイント差というのがどのくらいかというと、〈500〉の大会のベスト8が90ポイントでベスト4が180ポイントと言えば、だいたいイメージできるだろうか。 さらに、錦織が出場するアカプルコに強敵らしい強敵が見当たらないのに対して、マレーが出場するドバイにはジョコビッチとフェデラーのトップ2が乗り込んでくる。8位ながらマレーには6勝5敗と勝ち越しているトマーシュ・ベルディヒもいる。 また、ナダルは錦織と同じく失効ポイントがないが、ブエノスアイレスはアカプルコとドバイよりも格の低い〈250〉である。たとえ優勝したとしても獲得ポイントは250だから、錦織が優勝して500ポイントを獲得すれば・・・。