音楽シーンの新トレンドに? カニエ、アリアナ、ミーガン、BTS RMら海外アーティスト楽曲における“日本語”増加
〈わたしの名前はノースちゃん〉――カニエ・ウェストとタイ・ダラー・サインからなるユニット「¥$」の最新アルバム『VULTURES 2』の楽曲「BOMB」に、日本語で歌唱参加している人物がいる。カニエの娘のノース・ウェストだ。 【画像】東京ドームを掌握するRed Hot Chili Peppersの勇姿 過去にもカニエの「Stronger」(2007年)のMVには、たくさんの日本語が登場。同曲は大友克洋の『AKIRA』からインスピレーションを受け、制作されたと明かしていた(※1)。カニエは何度も来日しており、直近でも2023年6月、2024年6月と毎年訪れるほどだ。 それほど日本を訪れているカニエなら口にしたことがあるかもしれない「おはようございます」「こんにちは」。母国語ではないフレーズを歌詞に取り入れる上で、挨拶となる言葉をチョイスしたことは、日本への親しみを感じさせるカニエならではの友好と敬意の表れかもしれない。 本楽曲のように、近年海外アーティストが歌詞のなかに“日本語”を取り入れた楽曲が増加している。本稿ではそんな楽曲を紹介していきたい。 カニエと同じく日本に何度も足を運んでいるアーティストとして知られているアリアナ・グランデ。彼女も2024年にリリースしたアルバム『eternal sunshine』に収録の「ordinary things (feat. Nonna)」で、〈We could have omakase in Tokyo if you wanna〉と、「おまかせ」というワードを用いて日本通な彼女ならではの歌詞を綴っている。 そしてTikTokでもダンス動画が話題になっているのは、ミーガン・ザ・スタリオンが日本語のラップを披露している「MAMUSHI (feat. Yuki Chiba)」。千葉雄喜を迎えた本作では、〈お金 稼ぐ 俺らはスター/お金 稼ぐ 私は スター〉というフレーズがフックとして繰り返し歌われているほか、ミーガンのパートでも〈私、可愛い いい体〉と日本語が使われている。アルバム『MEGAN』は蛇に関するタイトルがついた曲が複数収録されており、「MAMUSHI」もその名の通りである。MVは黒澤明監督の『夢』(1990年)からインスピレーションを受けたとされており、ミーガンが日本を訪れて撮影を実施。『TOKYO VICE』(HBO Max/WOWOW)や『ガンニバル』(Disney+)への出演で海外でも人気の俳優・笠松将が出演している。 また、ミーガンは同アルバム収録曲「Otaku Hot Girl」でも日本語を組み込んでいた。同曲ではアニメ『呪術廻戦』(MBS/TBS系)のテーマをサンプリングし、〈Gojo〉〈Sukuna〉と登場キャラクターの名前を交えてラップしている。また〈Naruto〉〈Sasuke〉といった『NARUTO -ナルト-』(テレビ東京系)に関するキーワードも登場。ミーガンは大のアニメオタクで、度々披露するコスプレはその都度話題になっており、『クランチロール・アニメアワード 2024』で来日した際にも、五条悟(『呪術廻戦』)のコスプレを自身のInstagramに投稿していた。 同じく日本のアニメから影響を受けて作られたのがビリー・アイリッシュの「CHIHIRO」。日本語は出てこないものの、『千と千尋の神隠し』(2001年)の主人公・千尋(ちひろ)ともリンクする歌詞には、本作のストーリーの面影が感じられる。ビリーが映画を観た直後に、兄のフィニアス・オコネルがビートを作ったという運命的なタイミングの秘話ものちに明かされている(※2)。ビリー自身が監督を務めたMVでは、映画の再現シーンと思われる箇所も話題だ。