「“小さいうちに売った方が子犬のため”と発言」「“なんで客を帰した”と叱責」 ペット業界大手のブラック体質を関係者が告発
“なんで今の客を帰したんだ”と叱責
売上至上主義は社内の隅々にまで浸透している。 「店舗には監視カメラが設置されており、その映像を本社で幹部がチェックしています。例えば、抱っこさせたお客さんが、それでも買わずに帰ってしまった場合には、すぐに幹部から電話がかかってきて、“なんで今の客を帰したんだ”と叱責されます。だからお客さんをなかなか帰さない、当日中に売ろうとする、強引な接客になりやすいのです」(前出の元社員) ペッツファーストでは毎月、売り上げの良かった店舗のトップ3を発表し、成績の良い店舗は表彰されるという。 「販売員は売ったら売っただけインセンティブが入るので、トップセールスだと、年収800万~900万円になります。ペット不可物件に住んでいる人など、ペットを飼育できない人を相手にする時は気を付けなければいけない、という教育は一応されていますが、実際には売れば売るほど給料が上がるので現場では守られていません」(同)
“加入しないと生体を渡せません”
ペッツファーストにはペットの購入時に加入できる「ほっとサポート」という制度がある。 「このサポートに加入するかどうかはあくまで任意。が、ほとんどの飼い主から“強制的に加入させられた”との話を聞きます」 ペッツファーストと提携していた動物病院の院長が明かす。 「このサポートに加入すると、買った犬猫が1年以内に死んでしまった場合、代犬・代猫が提供される生命保障を受けられますが、年間契約で生体価格20%程度がかかります。入るかどうかは任意であるはずなのに、それをきちんと説明された、という飼い主はほとんどいません。中には“加入しないと生体を渡せません”と言われた人もいます」
「任意である旨を知らせるべき」
ペッツファースト側は「強制加入」の事実はない、と否定するが、この院長はこう訴える。 「9割以上の人が行使しないサービスに生体価格の20%を払っているわけで、実質的には生体を1.2倍の価格で購入させられているに等しい。私は何年も前から任意である旨を知らせるべきだと伝えているのですが、いっこうに改善されなかった。今回、新潮さんの記事が出たこともあり、ペッツファーストとの提携関係を解消しました」 “関係解消”の動きがブリーダーなどにも広がる前に、ペッツファーストは“利益ファースト”を改めて出直すべきではないか。 前編【「サイズが小さければ小さいほど高額で引き取られる」 ブリーダーが告発するペット業界の闇…規制が堂々と破られる現状とは】では、現役ブリーダーによる、ペット業界の裏側に関する貴重な証言を紹介している。 「週刊新潮」2024年8月29日号 掲載
新潮社
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