井岡が4か月ぶりの再起戦に快勝、大晦日に3階級制覇を狙う!
元2階級王者で、現在WBA世界フライ級5位の井岡一翔(25歳、井岡)が16日、後楽園ホールで行われたフライ級10回戦でWBA世界フライ級5位のパブロ・カリージョ(26歳、コロンビア)を3-0(99-91、99-93、98-92)の大差判定で下した。井岡は5月7日にIBF世界フライ級王者、アムナト・ルエンロン(タイ)に挑戦したが、1-2の判定で敗れ、3階級制覇に失敗。プロ初黒星を喫した井岡にとって、この試合は、大晦日に予定されている世界再挑戦に向けての重要な再起戦だった。 □ □ ラストラウンド。井岡はコロンビアから来た刺客と真っ向から打ち合った。パブロ・カリージョは、15勝2敗1分のレコードのうち、2つの負けは、いずれもWBA暫定世界フライ級王者のルイス・コンセプション相手に喫したもの。しかも、そのコンセプションは、KO率7割を超える世界トップレベルにあるハードパンチャーだが、いずれも判定負けで、その豪腕に耐えぬいたタフさは、再起戦の相手としては厳しいハードルだった。 ガードを下げリスクを負い左のボディを思い切りねじりこむ。もちろん、下から上への得意のダブルのコンビネーションブロー。「うっ」「うっ」というコロンビア人の歯軋りがリングサイドまで聞こえてきた。それでも、154センチと小柄だが、世界指折りのタフなファイターは構わず突進してきた。「楽な相手じゃないことはわかっていた。彼が、この試合にかけていることもわかった。気持ちだけでは絶対に負けたくなかった。熱くなった部分もあったのかもしれない」。 井岡も負けていない。激しい応酬。《パンチをもらわないこと》をテーマにしていた井岡が、「ひるんでもだめ」と、そのスタイルをかなぐりすてて、野性味、満々に攻めた。場内が大歓声に包まれたまま、非情にも10ラウンド終了のゴングが打ち鳴らされた。「満足じゃない。倒せなかった。攻撃はしたが足の動きは足りなかった。コンビネーションのつなぎのパンチも出せなかったし、コンビももうひとつ、ふたつとぶちこめなかった。うまくパンチの芯を外され、KOチャンスを逃した。ここをやりきらないと世界は取れない」 それでも受けに回った7ラウンド以外にジャッジの2人がフルマークをつける準パーフェクト勝利での再起戦。リング上でマイクを向けられると、「これでカムバックとは思っていない。チャンピオンに返り咲いたときが、本当のカムバック。思い描いたストーリーは崩れたけれど、新しいストーリーをここから描く」と毅然と言い放った。