つんく♂の言葉に支えられ…元看護師55歳アイドルが堂々と歌い、踊り続ける理由
歌、ダンスともに未経験で苦労の連続「思いつめる日も」
しかし、看護師からアイドルへの転身は苦労の連続だった。 「周りには、『年齢を重ねたら落ち着いていくのが当たり前』という考えの方が多かったため、突然、私が『アイドルデビューする』と言ったことでとても驚かれました。覚悟はしていましたが、ネットで『いい歳をしたおばさんがアイドルなんて』『その歳でミニスカートを履くな』と心ない言葉を書く方がいてショックでした。でも、『年齢を重ねたら地味な服を着なければいけない』という決まりはないですし、『こんなところでアンチに負けていられない』と思い、アイドル活動を楽しむことにしました。ただ、歌とダンスレッスンは本当に大変でした。どちらも未経験の私はついていけず、メンバーからきつく注意されることも多くて落ち込みました。グループの中にはダンス講師の方もいて、自分との差が歴然として、『なぜ、自分はうまく踊れないんだろう』と思い詰める日もありました」 その後、中原は人一倍努力し、歌とダンスがメキメキと上達。ライブの集客にも尽力し、CDの手売り枚数ではメンバー内で1位になった。それが評価され、グループリーダーの1人にも抜てきされた。 「リーダーとなった今の目標は、いつかこのグループで紅白歌合戦に出ることです。コロナでなかなか機会がなかったですが、全国のイベントに出させていただいたりしているので、少しでも多くの方に私たちのことを知ってもらえたらうれしいですね。また、そもそもこの年齢でアイドルをやっていることが非常識と言われることも多いのですが、つんく♂さんの『年齢にとらわれず、やりたいことをやって輝こう』という言葉が支えになっています」 中原も自分たちが輝くことが、社会のためになることを願っている。「これをやったら周りから何か言われると思って諦めている方々に、この活動を通して勇気を与えられたらと思います」。55歳のアイドルはそんな思いを胸に、堂々と歌い、踊り続ける。 □中原さくら(なかはら・さくら) 1969年1月14日、東京都生まれ。幼少期からアイドルに憧れるも、看護師として長く勤務。そして、52歳にして「つんく♂プロデュースの楽曲を歌うアラフォーアイドルグループ・フォティプロ」のオーディションを受けて合格。正規メンバーとなる。ライブ集客、CD個人売り上げ1位となり、グループリーダーの1人に就任。現在はイベントで全国を回り、精力的に活動を続けている。6月21日には、新潟の秋葉硝子ホールでイベントに出演。155センチ。血液型B。
白川ちひろ