「解散は顔ファンだけのせいとは限らない」ハイツ友の会、電撃解散…なぜ女芸人に解散と引退が続出するのか
Aマッソ加納が語る女芸人の難しさ
「『女芸人の壁』に掲載されている対談で、加納さんが『ワタナベエンターテインメントの芸歴10年以上の芸人が出るライブに女性がほとんどいない』と話していました。『売れなくても続けていればいつか…』みたいな幻想を持たない女性芸人が多いこと、直近でそういうモデルとなるような女性コンビがあまりいないことなどが理由にあるんじゃないかと考察されてましたね。 では、なぜ『続けていればいつか…』とならないのか。そういう女性コンビがいなかったのか。それはまさに『女性芸人であるかぎり「女性」から逃れられない』という現実が立ちはだかったいるからなのでしょう。芸人界において、“女”であること自体が非常に“情報量が多い”とされてしまう気がします」 西澤氏によると、女性が芸人という職業に就いた場合、「なんで“女”がこんなネタしてるの?」「“女”が芸人やってるの?」といったことをまず解説する必要があり、わかりやすいキャラ(デブ、ブス、非モテ、ババア、ギャル、やさぐれetc)が求められるという。 「ハイツ友の会はそのキャラづけを拒否して自分たちがおもしろいと思うネタだけでやっていきたかったのだと思いますが、それを貫くのは相当キツかったのではないかと。またキャラでブレイクしても、そのキャラに自分自身が苦しめられて辞めていく女性芸人も少なくないです。“売れる”という観点でいえば、男性コンビと比べて女性コンビのほうが可能性は高いかもしれませんが、それは“ガラスの天井”に近いものなのかなと思います」 最近では、男性優位な芸人界においても女性が増えてきており、女芸人だけが出場できる賞レース『女芸人No.1決定戦 THE W』なども設立されて、活躍の場を設けようと業界も動きはじめている。
「賞レースが芸人の一生を極端に左右してしまう」
今後、女芸人がさらなる活躍をするために、そして、ハイツ友の会のような悲しい解散劇が起こらないように、我々のするべきことはなんなのだろうか。 「厄介なことするファンって、自分が厄介なファンだとは微塵も思っていないので、ハイツ解散でこんなに議論が起こっても、そこにはまったく届いてないでしょうね。となるともう、わかってる人たちがちゃんとしていくしかないのかと…。私は西野さんのステイトメントで『今の形のままでは優勝できない』という一文もショックでした。 賞レースが芸人の一生を極端に左右してしまうことが、芸人界にとって果たしていいことなのだろうかと思いますし、そうでなくても“情報量の多い”女芸人が、フラットにおもしろさを審査してもらえるのだろうか。そういう構造の歪さも、ハイツ解散の一つの要因だと思いました。やっぱり手っ取り早く変われるのは私たち視聴者だったりファンだったりだと思いますので、もう少し謙虚に、自分の中にある“無自覚な差別意識”に向き合えたら」(西澤) 人々の意識、芸人界の構造が変わっていくのは10年、20年スパンかもしれないが、それでも彼女らが今戦っていることが、この先の明るい未来に繋がっていると信じたい。 取材・文/集英社オンライン編集部