厚労省が基礎年金の給付水準3割引き上げ案…厚生年金の積立金を活用、将来は年2兆円規模の財源必要
基礎年金の財源の半分は国庫負担で賄われるため、追加で40年度に5000億円、50年度に1・7兆円、60年度に2兆円の財源が必要となる見込みだ。
「在職老齢年金」制度では現在、給与と厚生年金の合計額が月50万円の基準額を超えると、超過した分の半分の厚生年金が支給されない。この基準額を62万円か71万円に引き上げる案と撤廃する案が示された。高齢者の手取りを増やし、働き手の確保につなげる狙いがある。現行では約50万人が基準額を超え、計約4500億円分の年金支給が停止されている。62万円に引き上げれば約20万人、71万円に引き上げれば約27万人の受け取る年金が増える。
「標準報酬月額」では、上限を現在の65万円から、〈1〉75万円〈2〉79万円〈3〉83万円〈4〉98万円――に引き上げる4案が示された。75万円に引き上げれば、168万人の保険料が月9000円ずつ増え、加入期間が10年なら将来の給付額は年6・1万円、20年なら年12・2万円増える。