世界の歌姫セリーヌ・ディオン。難病に立ち向かう不屈の精神を映し出した「アイ・アム・セリーヌ・ディオン ~病との闘いの中で~」
アマゾン・プライム・ビデオにて、6月25日(火)よりドキュメンタリー映画「アイ・アム セリーヌ・ディオン ~病との闘いの中で~」が配信されている。今作は「タイタニック」(1997年)の主題歌「My Heart Will Go On」などを歌い、世界的なスターとして名をはせ、日本のドラマ「恋人よ」の主題歌「To Love You More」などにより日本でも高い人気を誇る歌姫セリーヌ・ディオンの「スティッフパーソン症候群」との闘病生活を映し出したドキュメンタリー作品である。 【動画】世界的な歌姫が、難病と闘う姿を生々しくカメラの前にさらけ出す「アイ・アム・セリーヌ・ディオン ~病との闘いの中で~」予告編
100万人に1、2人しかかからない難病を発症したディオン
スティッフパーソン症候群は作中でも「100万人に1、2人しかかからない」と語られるまれな病で、進行性の神経性疾患・自己免疫疾患である。神経系統の不調により筋肉の弛緩(しかん)がうまく行えず、時に身体が硬直したり痙攣(けいれん)したりしてしまう難病であるため、セリーヌ・ディオンのような歌で活躍する人物にとって、この病の発症は大打撃であった。2022年にディオンはビデオメッセージを通じてこの病の発症を世界に向けて告白、翌年予定されていたツアーをキャンセルしている。 本作は、診断後のディオンの闘病生活に密着し、彼女のありのままの姿や本音を映し出すとともに、過去のアーカイブ映像も挟むことによって彼女のこれまでの活躍や経歴を振り返る構成となっている。病気への思いだけでなく、クリーンな歌声を保つために水しか飲まない生活をしている彼女が、飲酒も喫煙も満喫しながらしゃがれ声で群衆を盛り上げるロックスターへのひそかな憧れを語るなど、大スターの赤裸々な本音・人柄に触れることができる一作だ。 彼女の生い立ちや経歴にはじまり、不調に気づいてからの行動や感情の動き、そしてファンへ病気を告白する覚悟に至るまでを丁寧につむぐ作品であるため、発表当時ただでさえ感傷的にさせられた(闘病告白の)ビデオメッセージを作中で改めて見せられると、さらに胸を締めつけられた。 頻繁に挟まる過去映像にはディオン本来のパワフルで美しい歌声を味わわせる役割があるだけでなく、従来の歌声・パフォーマンスが実現できない現状とのギャップを強調する側面も非常に強い。過去のディオンが輝けば輝くほど、現在のディオンの悲しみやいら立ちに強く共感させられるのだ。