写真：ザイ・オンライン

　2024年2月に新規上場した「IPO株」5銘柄のうち、アナリストが「強気」と評価した「VRAIN Solution」に注目！　 ●2024年2月に新規上場した「IPO株」は全部で5銘柄！　 日本株の大幅上昇で、中小型株や新興株を取り巻く環境も好転！　 　2024年1月には新規上場の銘柄がなく、2月7日のSOLIZE(5871)が2024年の新規上場第1号となった。同社の初値は公開価格を3割超上回る堅調な滑り出しとなったが、それ以上に初値後の大幅な値上がりが目を引いた。 　日経平均株価は年初から大きく上昇し、2月22日には史上最高値を更新。月半ば以降は出遅れていた中小型株・新興株にも資金が向かい、SOLIZEの株価上昇を後押ししたようだ。 　ちなみに、SOLIZEは2023年中の上場承認のため従来の証券コードだが、2024年1月から証券コードへの英文字組み入れがスタート。よって、2月上場のその他の銘柄は、すべて銘柄コードに英文字のAが入っている。 　こうした環境下で、2月8日以降のIPO株は取引開始から積極的に買われて、5社中3社が公開価格の2倍超の初値を付けた。昨年12月は15社中8社が公開価格割れスタートだっただけに、環境が大きく好転した印象だ。 　初値の平均騰落率もプラス91％と、かなり上向いた。結果として「ブックビルディング参加の意義が増す一方、上場後のセカンダリー投資は難しくなった」と、ダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチの小林大純さんは指摘する。「初値高騰で高PERとなると、それ相応の成長性があるか見極めが重要です」(小林さん) 　●2024年2月に上場した【IPO株】5銘柄！　 　上場日 　公開価格 　初値 (騰落率) 　株価 (3/5) 　PER (PBR) 　今後1年の 高値予想 (安値予想) 　投資判断 　7日 ◆SOLIZE(5871・東S) 　1470円 　2020円 (+37.4％) 　3450円 　26.1倍 (1.80倍) 　4400円 (2500円) 　中立 　【分析コメント】自動車業界の開発部門向けを中心とした技術者派遣・請負。3Dプリンターによる試作や少量部品の製作も。業績は好調だが、すでに株価は大幅上昇し、期待並みのPER水準に。 　8日 ◆Veritas In Silico(130A・東G) 　1000円 　2001円 (+100.1％) 　2060円 　120.2倍 (8.24倍) 　3000円 (1500円) 　強気 　【分析コメント】mRNA(メッセンジャーRNA。遺伝情報であるDNA配列を写しとって、タンパク質合成のために情報を伝達する)を標的とした低分子医薬品の開発。独自の創薬プラットフォームで製薬会社と共同研究を行う。収益は急拡大している。高PERだが黒字のバイオ企業は希少で許容できる。 　22日 ◆VRAIN Solution(135A・東G) 　2990円 　5190円 (+73.6％) 　6480円 　198.5倍 (191.55倍) 　8000円 (4000円) 　強気 　【分析コメント】AIを活用し、製造ラインの検査を自動化・省力化するシステムを手掛ける。 　28日 ◆Cocolive(137A・東G) 　1780円 　3990円 (+124.2％) 　2440円 　46.5倍 (21.08倍) 　3000円 (2000円) 　中立 　【分析コメント】不動産業界に特化し、営業担当者を支援するツールを提供。見込み客を成約に導く「追客」に強み。オプションサービスの開発などで業績拡大中だが、初値がやや高騰し過ぎた。 　28日 ◆光フードサービス(138A・東G) 　2660円 　5850円 (+119.9％) 　4730円 　23.1倍 (12.93倍) 　6000円 (4000円) 　中立 　【分析コメント】名古屋地盤で、立呑み業態の「大黒」「魚椿」などを展開する。店舗数は現在50超。公開価格は保守的だったが初値高騰で割安感は後退。業績は好調だが成長加速が見たいところ。 　※データは2024年3月5日時点。 ●2月のIPO銘柄の中で、アナリストおすすめの銘柄を紹介！　 高成長＆高収益の「VRAIN Solution」に注目！　 　ここからは、2月のIPO株の中で、小林さんが特に注目する銘柄を深掘りしていこう。 　取り上げるのは、2月22日に上場したVRAIN Solution(135A)だ。 　VRAIN Solutionは、AIを活用して製造ラインの検査を自動化・省力化するシステムを主力とする企業。社長はキーエンス出身で、この分野の豊富な経験を持つ。2024年2月期は売上高2.3倍、営業利益率35％超と成長性、収益性ともに高い。2025年2月期の業績にも期待が持てる。高PERだが、AI関連としては許容できる水準だ。