たちんぼ摘発、“買う側は処罰なし”の現状 規制しても効果薄?合法化論も? 「規制と支援の両輪を」
4月に施行された女性支援新法では、従来は売春するおそれがある女子を補導処分していたのに対して、民間との協働して訪問や居場所を提供する、国・自治体による支援を行うなど「寄り添う」方針となっている。 田村氏は「これがどう運用されていくか興味深く見ている。支援の対象としては、売春する女性だけではなく、DV、家に居場所のない少女など幅がある。この支援と規制というのは両輪で考えないといけない」と述べた。
■売買春規制のあり方、合法化はあり?
オランダは2000年、成人同士の合意があれば買春・売春ともに合法とした。アムステルダムの売春街「飾り窓地区」では、下着姿の女性たちが建物の窓から客を誘い、観光地としても人気スポットとなっている。2019年には若者を中心に禁止を求める署名活動に4万人以上が賛同したが、性産業従事者は反対している。 リディラバ代表の安部敏樹氏は「買春側も取り締まって厳罰化していくのが1つ。もう1つが合法化だ。後者をとった時、公衆衛生上のリスクが下がったり、暴力などがあった時の保護が機能するとみると、産業として守るという意味では良いかもしれない。直近だと海外売春が増えていて、アメリカに行こうとしたけど売春を疑われて入れないということが起き始めている。海外売春はかなり国益を害する話で、それを防ぐことを考えても、合法化のほうが可能性はあるのではないか」との見方を示す。
要氏は「私が調査してきた中では、サバイブするためにより良い条件を求めてセックスワークにたどり着いた人が多いと思っている」とした上で、「2020年から2022年はコロナ禍、その後AV新法もあってたくさんの人の仕事が減ったことで、海外売春やネットに流れているという話がそのとおりになっている。そこには働くスタンスの違いがあり、心配して言っても本人が納得しなければ意味がない」と指摘。 その上で、合法化については、「いいかどうかは一概に言えないが、世界的な流れとして、“非犯罪化”がベストプラクティスだと思われている。ニュージーランドとオーストラリアの一部の州の例が、セックスワーカーが一番支持する法律・政策だ」とする。 田村氏は「やはりSNSの時代では、どこかの店舗に縛られるよりも、自由に好きな時にお客さんを開拓できる所に人が集まってしまうのは、もう避けがたい事実だ。その現状の中で、“売春自体がいいのか”という大前提の共通認識はとらないといけない。規制するというのはお節介かもしれないが、どうしていくかを議論すべきだ」と投げかけた。(『ABEMA Prime』より)