腕足なぞ飾りな水陸両用MS「ゾック」の見せ場のなさは異常…お前は何がしたかったん?
残念すぎた最新MS「ゾック」の末路
●どこか愛嬌のある前後・左右対称デザイン ゾックは、前から見ても後ろから見ても同じという対称デザインが印象的です。どことなくマスコットキャラ的な愛嬌のあるフォルムにかわいさを感じる人も少なくないのではないでしょうか。 ゾックの前後対称デザインは、『ガンダム』の機体のなかでも異色です。実はこういう造形になった理由としては、「機体を180度転回する速度があまりにも遅く、実用的ではないため」とも「敵の包囲攻撃に対応するため」ともいわれています。 実際、ゾックに求められる役割が「移動砲台」なのであれば、これが最適解だったのかもしれませんね。 ●見せ場皆無なのは誰の責任? 劇中でゾックは、2機のゴッグとともにジャブロー攻略の先発隊として出撃します。基地発見後は、シャアの乗るMS「ズゴック」と行動しました。 基地内を先行したシャアは「アムロ」の「ガンダム」と交戦するなかで、連邦軍の「ウッディ大尉」による命がけの攻撃によりズゴックのメインカメラを破壊されます。するとシャアは、ゾックに乗る「ボラスキニフ」に撤退の援護をするよう命じました。 ゾックのメガ粒子砲でガンダムを攻撃しますが、アムロの立体的な回避運動によって鮮やかにかわされます。そしてガンダムのビーム・ライフルで、胴体のおそらくコクピット部を正確に撃ち抜かれ、たった一撃で沈黙しました。 ゾックの装甲は戦車の砲撃が直撃してもビクともしなかっただけに、いかにガンダムのビーム・ライフルが強力か分かるシーンでもあります。 やはりゾックは、ガンダムと接近戦を行えるような機体ではなかったのが最大の敗因でしょう。潜んで「移動砲台」に徹していたら、ジャブローでも十分な戦果が見込めたはずです。 シャアも、事前情報として「ザクの数倍のジャンプ力」などと聞いていなければ、狭い基地内でMS戦を挑ませるような無謀な命令は出さなかったかもしれません。 いずれにせよ、ゾックは満足な戦果を挙げることはできませんでした。いちばん最初にゾックを見たシャアは「見かけ倒しでなけりゃいいがな」とつぶやいており、図らずもその言葉は的中しました。 結果、ゾックは試作機が3機生産されたのみに終わります。残念ながら量産はされなかったものの、ゾックで培った技術と経験が、のちのMAの開発に活かされたのだとすれば、意味のある機体だったはずです。 劇中でゾックの無双シーンは見られませんでしたが、思わず立体物を手元に置いておきたくなる、愛らしさすら感じるフォルムをした機体でした。皆さんはゾックのこと、どう思いますか? ※記事内容の一部を修正しました(10月28日11時10分)
大那イブキ