BMW新型R1300GS試乗「巨体に騙されるな!オンではネイキッドのように振り回せ、オフでは600cc並の自在感」
GSらしさはそのままに、扱いやすさに磨きをかけた
デザイン的にまず目に飛び込んでくるのが、X型のヘッドライト。今までの左右非対称の「ロボット顔」から印象が大きく変わった。全体的なシルエットも無骨さが和らぎ、滑らかでスマートな印象である。 最初に試乗したのはキャストホイール(日本未導入)のスタンダード仕様。ライディングポジションはR1250GSと比べて全体的にややコンパクトになり、シートの座面が前後に長くなって自由度が増えたのはうれしい部分。シート高は標準で850mmと、足着きもR1250GSと同等レベルと感じた。 乗ってすぐに感じるのは軽さだ。従来型はエンジン周りに大きなマス(重量)があり、車体をロールさせるとその重さに引っ張られる感じがあったが、新型ではそれが不思議なほどなくなっている。ギヤボックスをエンジン下に配置して軽量コンパクト化が進められた恩恵はやはり大きい。 エンジンの扱いやすさはそのままに、2000~6000回転辺りの常用域のトルクが2割増しになった感じ。右手とエンジンの直結感が気持ち良く、改良されたシフトカム効果とも相まって加速もより俊敏だ。排気音もスポーツ心を刺激するドライで弾けるサウンドになった。 コーナリング性能にもさらに磨きがかかった。抜群の安定感はそのままに、身のこなしが明らかに軽快に。テレレバー独特の路面にタイヤが張り付くような接地感も健在。R1300GSでは「EVOテレレバー」に進化したことで、ステアリングの反応もよりダイレクトになり、まるで前後17インチのスポーツモデルのような感覚で走れてしまう。 また、新型では前後ブレーキが互いに連動したフルインテグラルタイプとなり、レバー操作だけでも安定したブレーキングが可能。加えて4種類のライドモード(エコ、レイン、ロード、エンデューロ)と連動して出力とサスペンション特性、ABSとトラコンの介入度を最適化してくれるという至れり尽くせりぶり。とにかく快適で安心なので自然と距離も稼げる。「あぁ、これがGS神話なんだ」と納得したのだった。