マンションの「自主管理」物件はこんなにヤバい…役員が「組合費を横領」、大規模修繕ができずにさらにお金を徴収するハメに
労働者の確保や物価上昇への対策として、政府は2023年から北海道、東京都、大阪府、愛知県、福岡県などの主要都市の最低賃金を順次引き上げし、これにより全国の平均時給が過去最大の1002円のベースアップとなりました。 【マンガ】5200万円を相続した家族が青ざめた…税務署からの突然の“お知らせ” これに伴い、マンションの管理委託費も高騰し、一部では住民と管理会社の間でのトラブルが発生しています。 近頃では管理委託費の値上げに関して組合の協議が整わず、結局は撤退せざるを得ないマンションも多くみられ、事実、国土省のマンション総合調査(H30)では、約73%が「分譲時に分譲業者が提示したマンション管理会社のまま変更をしていない」と報告もあります。 ではこの高騰やトラブルに関してマンションの所有者にはどういった対策があるのか、<【前編】時給「1500円」でも集まらない、マンション管理員「人手不足」の惨状…150万円をかけても集まるのは一桁、「ぼったくり」とクレームも>に引き続き事例を紹介します。
「自主管理」の危険性
この問題を解決するための究極の手段として、管理会社に業務を委託せず、すべてを管理組合が自前で管理を行ういわゆる『自主管理』を選択する方法もありますが、これはあまりおすすめはできません。 自主管理のマンションは、管理委託費を支払う必要がないので費用は多く削減できますが、管理費の徴収、ゴミ出し、清掃、漏水等建物、設備の不具合の緊急対応の業者の手配など、今まで管理会社が行ってきた業務のすべてをマンションの組合員が行わなければならないので、かかる負担は半端ではありません。 さらに、管理会社は管理組合等名義の「保管口座」や「収納・保管口座」について、印鑑や引出し用カード等の管理を法律上で禁じられていますが自主管理のマンションでは、理事長や会計担当理事が通帳と銀行届出印を一緒に保管することができ、さらにキャッシュカードの作成、使用もできるのです。 そのため、管理組合の役員が財産を横領するといった、住民にとったら見逃すことができない事件も発生しています。 管理組合の財産、特に将来の大規模修繕に備えて積み立てている積立金は、非常に高額なものとなっており、その保管には最大の注意を払うのは当然です。 仮に管理会社のフロントマンや管理員が、管理費や金品を着服しても、使用者責任としての義務があるので原則として、管理会社が損害を負うことになり、多くの場合はお金が戻ってきます。 ところが、自主管理のマンションで横領が起こった場合は、たとえ訴訟で勝訴判決を受けても加害者に賠償能力がなく、財産を隠されるなどして被害にあったお金が戻ってこないパターンが頻発します。 理事長が、管理組合のお金を持ち逃げして行方が分からない、前の理事長が引っ越して新理事長が就任したら、管理組合の通帳の残高がほとんどなくなっていて、大規模修繕工事もできず組合員から一時金を徴収しなければならなかった事例は一つや二つでありません。