グロース氏、名言「ばくちはするな」を引用-ウォール街の熱狂に警鐘
(ブルームバーグ): 暗号資産(仮想通貨)のビットコインが急上昇し、ミーム株も理由なく急伸するなど弱気な賭けは一気に崩壊した。
ウォール街の長い歴史を知らない人にとって、2024年の市場の熱狂ぶりは目新しく危険なものに見えるかもしれない。だが、今年傘寿を迎えたビル・グロース氏にとっては米市場かいわいでのこの種の熱狂は日常茶飯事で、グロス氏が生まれる前の投資家にとっても同様だ。
パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)の共同創業者で、すでに引退したグロース氏は5日、ブルームバーグ宛ての電子メールで、ユーモア作家の故ウィル・ロジャースは「『ばくちはするな。蓄えの全てを使って良い株を買い、上がるまで待ってから売れ。もし上がらなかったら、そんな株は買うな』という明言を残している」とし、市場を席巻しているギャンブル精神を警告した。
グロース氏はその後、X(旧ツイッター)でも同様の内容を投稿した。
高配当銘柄や銀行株などディフェンシブ銘柄への投資を推奨しているグロース氏は、市場の熱狂ぶりに注意を払っており、「この狂宴に陰りが見えたり、終わりが近づいたりするような状況を警戒している」と語った。
米雇用統計で労働市場の堅調さ継続が示されたことを受け、7日にはリスク選好の動きが活発化。S&P500種指数は過去最高値を更新して今週を終えたほか、ナスダック100指数は年初来で28%余り上昇している。クレジット市場では借り入れコストが20年超ぶりの低水準となる中、米企業全体の好調さが裏付けられている。
こうした中、最後まで残っていた空売り筋が打撃を受けている。ブルームバーグ・インテリジェンスによると、いわゆるインバース型の上場投資信託(ETF)126本のうち、利益を上げているのは14本のみ。損失率の平均は27%となっている。
ステート・ストリートのマクロマルチアセットストラテジスト、ケイラ・セダー氏は「現時点でリスクに対して弱気になるのは難しい」とし、「流動性は依然として豊富で、米金融当局は利下げサイクルを開始する一方、経済指標は概して上振れのサプライズが続いている」と述べた。