パリ五輪でメダルラッシュ「フェンシング」は日本のお家芸になれるか 東京五輪金メダリストが語る「競技人口6000人」でも世界を目指すには
「お家芸に足を踏み入れつつある」日本フェンシングが、さらなる強化に向けて必要なこと
「パリ五輪をきっかけに『日本のフェンシングは強くなった』と言っていただける機会も増えましたが、今後に向けてやらなければいけないことがまだまだある」と話す宇山氏が直近の課題として挙げるのが、子供達の受け入れ態勢の構築だ。 メダルラッシュに沸いたフェンシングだが、その競技人口は6000人程度。熱の高まりと共に、各地のフェンシングクラブには子供達からの問い合わせが相次いでいるというが……。 「都市部にはフェンシングクラブがありますが、地方に目を向けるとクラブの数はまだまだ少ないですし、指導者の数も限られています。インターハイの競技に採用されているので、学校のクラブ活動が盛んな地域も見られますが、それも極めて限定的です。特に競技環境が整っていない地方では、指導に携わる人材の掘り起こしが早急な課題であるように感じています」 その解決の糸口になりそうなのが、福岡県などで実施されているタレント発掘事業だろう。スポーツの才能を持つ子供たちの発掘を目的としたプロジェクトで、女子サーブル団体で銅メダルを手にした福島史帆実選手と高嶋理紗選手もこの取り組みによって才能を見出され、世界に羽ばたいた。 「教師の負担軽減などを目的に、学校のクラブ活動が地域に移管されていく傾向が見られますが、この流れは今後も加速していくことになるでしょう。 その場合は、外部指導者を招き入れるような流れになると思いますが、もし地域に競技経験者がいたとしても、核家族化によって家庭内で果たす役割は増えていますし、選手の指導だけでは生活が成り立たないような状況も見受けられる。クラブ経営や後進の指導をすることで、安定した生活基盤が整えられるような環境づくりが一層求められるようになるでしょう」 フェンシング協会を中心とした指導者ライセンスの整備なども進めており、外部の人材を受け入れ体制を徐々に整えているというが……。今後の動向にも注視したいところだ。