「考えたことのない発想ばかりで新鮮です」甲子園を知る名将が就任した新生・明星の夏に注目
また、永田監督はメンタル以外にも、体作りにも積極的に取り組んできた。 「1年間通じてウエイトトレーニングはやるつもりです。ただ、アップやダウンも大事にしたいと思っています。 ここ(明星)に来た時、すでにケガ人がたくさんいたんですよね。考えてみたら、練習が終わったら、ダウンをやらずに解散してしまっていたんです。技術とフィジカルで勝負するには時間がかかるので、まずはケガをしない体を作らないと大会を勝ち上がれないことをわかってもらうためにも、アップやダウンに時間を費やすようにしています」 取材日は個人アップだったが、「1日練習だったら、アップだけで50分くらい時間を使っています」永田監督はいう。かなりの徹底ぶりなのは、使っている時間だけでも伝わってくる。 大澤主将も、「時間をかけてアップをするようになり、腰のケガが気になることが減りました」と身をもって永田監督の意図を感じているようだった。
目指すはベスト8
また、足を使った野球を明星で取り入れている。 「ホームランがどんどん出るような打線ではありませんので、ピッチャーを中心に守備を大事にする野球しかできません。そのなかで、少ないヒットで点数を取る。ランナーが塁上にいれば、1つでも先に進める。当たり前のことかもしれませんが、『そういうチームを目指そう』と話しています」(永田監督)
永田監督の熱い指導に内野手の大澤主将は、「聞いたこと、考えたことのない発想ばかりで新鮮です」と話す。 「永田監督からは『エラーを恐れるな』とはよく言ってもらっています。そのうえで感覚的には追いこすというのが近いかもしれないですが、とにかく細かく足を使って、早く正面で捕球できるようにしています。そうすれば早く捕球すればスローイングに使える時間も増えます。 カットプレーも今までと全然違いますね。最近は外野に投げさせるために、カットマンを1人にしていますが、その人数を何でもかんでも2人にしないようにしたり、体内時間を計算して投げる場所を考えたりしています」 春の都大会は初戦・都立雪谷に3対13と悔しい敗戦となった。永田監督のなかでも投手陣をキチンと見切れなかったことを反省していたが、大澤主将も「投手陣が崩れて、野手がカバーできずに完全に後手に回ってしまった」と振り返る。
チームとして完成度が低い状態で春が終わってしまったが、夏は違う。しっかりとゲームを積んで準備をしてきた。「無駄な時間を作らずに、日々の練習を大事にしてきた」と自信を持っている。 そのうえで、「ベスト8に行って、神宮球場でプレーできるように、団結してチーム力で戦いたい」と意気込みを残した。 過去3年を振り返ると、2023年、2022年は4回戦、そして2021年は5回戦と、あと一歩ベスト8には届いていない。永田率いる新星・明星ナインの戦いに注目だ。