月内おおむね断水解消 馳知事会見 珠洲の一部5月末か
能登半島地震により断水が続いている奥能登4市町の約7720戸について、馳浩知事は1日、おおむね4月中に水道が復旧するとの見通しを示した。先月初旬には「おおむね3月中」と表明しており、復旧工事の遅滞を受けて後ろ倒しした形だ。輪島市や珠洲市では、家の前まで通水しても宅内に引き込む管路が破損して水が使えない問題が深刻で、県はホームページで水道工事業者の紹介を始めた。 1日までに七尾市内の全域で通水したことで、同日時点で県が把握する断水戸数は、珠洲市の4250戸、輪島市の2600戸、能登町の約800戸、内灘町の約70戸となった。 地震発生3カ月のこの日、県庁で会見した馳知事は、復旧のめどについて、珠洲市では「一部を除き4月から5月末」、輪島市は「立入困難区域を除き4月初旬までに」、能登町は「4月下旬までに」、内灘町は「液状化被害が大きい地域を除き4月初旬までに」と説明した。 地震では最大16市町の11万戸が断水。3月1日時点では残り1万8380戸まで解消が進んでいた。同時点で県は3月中をおおむね復旧のめどとしていたが、想定以上に時間がかかっており、損傷次第ではさらに遅れる懸念もある。 輪島市によると、道路に倒壊した家屋の下に管路があり、家を撤去できずに工事が中断しているケースがある。担当者は「残っている断水箇所は難しいものが多く、まだ時間がかかる恐れがある」と語る。 珠洲市の断水戸数は、2月末が4650戸で解消は400戸にとどまる。同市の担当者は「配管の被害は甚大。損傷箇所は地上からは分からず一歩一歩進めている」と話す。 加えて懸念されるのが、各住宅内の管路の破損だ。市町が修復を急ぐ水道管はメーターまでで、そこから宅内への引き込み管は所有者が修復しなければならない。このため、実際に水が使えない戸数は県の発表数を上回っている可能性もある。 引き込み管の復旧は通常、各市町の指定事業者が請け負うが、奥能登は業者が少なく、予約が数十件待ちの会社もあるという。 今回は地震に伴う特例で県内他市町の指定事業者に依頼することも可能で、県は業者をホームページで紹介しているが、奥能登では「なじみの地元業者に頼みたい」との声も多い。県の担当者は「遠方の業者だと料金が高くなる場合もあるが、早い水道復旧へぜひ活用してほしい」と話した。 当初の見込みより水道復旧に時間を要していることについて、会見で馳知事は「思った以上に配管がずたずたになっていたということが明確になった。率直に申し訳ないと思っている」と述べ、引き続き市町と連携して迅速な復旧に努める考えを示した。