【ライブレポート】鬼越トマホーク、逃げずに向き合った7年ぶり単独ライブ 漫才でウケる高揚感思い出した
鬼越トマホークが昨日9月16日、東京・ルミネtheよしもとで単独ライブ「やれんのか!?」を開催。前回から7年ぶりとなる単独ライブは立ち見スペースも満杯となる盛況ぶりで、2人は「こんなに入ってもらえるとは思わなかった」と驚いた様子でステージに登場した。 【写真】冒頭のおしゃべりからどうやってネタに入っていいのかわからなくなる鬼越トマホーク。 大きな拍手に迎えられた鬼越は、まずは7年前の単独ライブを回想。当時は今回の半分ほどのキャパシティである東京・ヨシモト∞ホールの客席が埋まらず、居酒屋金ちゃんの常連を呼んで乗り切ったと話して笑いを誘う。前回の単独ライブにも来たと手を挙げた観客は数人で、ほとんどがこの7年で新たに獲得したファン。「がんばったってことだね」と話すと再び温かい拍手が送られた。 披露された4本の漫才と2本のコントはすべて新ネタ。事前に「不適切な言動、真偽不明な情報、センシティブな表現が数多く含まれているため一切口外禁止」とアナウンスされていた通り、事実なのか憶測や噂話なのかわからない発言が飛び交う鬼越の世界で、観客も切れ味鋭い部分を逃すことなく敏感に汲み取って反応する。鬼越はライブの醍醐味である観客との共犯関係を楽しみつつ、掛け合いそのものでも会場を魅了。一般的な題材を彼ら風味に調理して刺激的なネタに仕上げてみせた。 ラストのネタではスタミナ切れの坂井がぼーっとしてしまう場面もありながら、予定されていた90分をオーバーする熱演を見せた鬼越。エンディングでは「ネタってつらいなあ。毎年単独ライブやってる芸人を尊敬しました」と話しつつ、「これからもネタに真摯に向き合っていきたい」と語った。 なおこのライブで撮影した写真を使用したグッズが当たる「鬼越トマホーク単独ライブ『やれんのか!?』くじ」が10月7日(月)まで吉本くじのオフィシャルサイトで販売されている。直筆サイン入りの抱き枕カバー、フォトハンガー、アクリルスタンドなどが用意される予定だ。 お笑いナタリーでは終演後の鬼越にインタビューを実施。心地いい疲労感に包まれた2人は「楽しかった」と晴れやかに語った。 ■ 鬼越トマホーク インタビュー ──7年ぶりの単独ライブを終えて、今のお気持ちを。 金ちゃん:「やっと終わったな」って感じですね。キツかったなあ。最初は緊張してましたね。途中で緊張はなくなっていったんですけど。さすがにこんなにネタをやる機会ないので、清々しいです。 坂井:よかったですね。予想以上にお客さんがこんなに来てくれて。そんなに告知しなかったんですよ。7年ぶりで緊張しながらやるのは嫌だったのであんまり声かけなかったんです。 金ちゃん:それこそ関係者とか呼ばないでもらいましたもん。僕ら、プレッシャーに弱いので。 ──新ネタだけで単独ライブをやることになったきっかけは? 坂井:「水曜日のダウンタウン」(TBS)や格闘技つながりでお世話になっている作家の大井洋一さんが、一緒に格闘技を見ているときに熱くなって「鬼越も今年単独やらなきゃね」って言ってくれたんですよ。「今年単独やらないともうやらないと思うから」とケツを叩いてくれて。「じゃあやります!」ってそこで決意したんですけど、久しぶりすぎてやり方も何も、何から始めていいかもわからなかった。そこは相方ががんばってくれましたね。僕が「やろう」って言い出したんですけど。 金ちゃん:相談もなく、いきなりマネージャーとのグループLINEに「単独決まったから」と連絡が来たんですよ。「どういうこと?」ってなって。俺、何回か逃げようとしたんですよ。ほかの奴いっぱい呼んで合同コントやろうとか。でも、大井さんが「今回は鬼越のストロング単独だから、2人だけで新ネタでやろう」と言ってくれて。「俺ら(作家陣)もがんばるから」と。何回も心折れましたし、「無理だろこれ」ってなりましたけど、なんとかやれました。 坂井:本当にやってよかったですね。作家さんも本当にみんな忙しい方なのに、ケツ叩いてくれて。自分たちだけではできなかったです。俺が一番何もやってないんじゃない? 「やろう」って言ったの俺なのに。 金ちゃん:全員で良ちゃんのセリフとかボケ考えてたからね(笑)。でも本番がんばってくれたからいいよ。ネタ合わせにはいてくれたし。シンプルに、楽しかったです。最初はなんでこいつ「単独ライブやろう」なんて言ったんだよって腹立ってたんですけど。苦しいと思う仕事のほうがやり終わったあと達成感があるなと思いましたね。 坂井:ネタから逃げてたっていうのはありましたね。そこの部分で注目されたコンビじゃないからって。賞レースで勝てない、ネタが弱いとかをネタにしてやってきたけど、今回やってよかったよね。ちゃんと決められたネタのところでウケてたのもよかった。前は、ネタをぶっ壊してウケるみたいなライブをよくやっていたので。 金ちゃん:毎年ツアーとかやってる芸人はすごいですよ。僕らは7年ぶりだったんですけど、ちゃんとネタやらなきゃダメだなと思いましたね。 ──今後も新ネタを作っていこうという気持ちになった? 金ちゃん:思い出しましたね。漫才がウケたときの高揚感とか。「もう別にいいか」となっていたんですけど。 坂井:ほかの仕事でも忙しくはさせてもらってたから、そこ見ないようにしてたよね。本当よかったね、やって。まあ「やろう」って言ったのは僕なんですけど、責任とか放棄して。結局一番楽してたのは俺だよね。 金ちゃん:そんなことないよ。本番がんばってくれたから。 坂井:じゃあ本番以外は……。 金ちゃん:本番以外はマジでやばかった(笑)。なんでこいつのセリフを俺たちが考えてんだ?って思いながら。ストレスで肌荒れがすごいですもん。でも良ちゃんは2日前から体調不良で仕事を休んでいて、体調キツいかもってなってたんですけど、今日元気に来てくれたんでね。それだけで単独は成功です。 坂井:ほかの芸人と新ネタライブとかだったらやってもいいかもね。 金ちゃん:月1回の新ネタライブでいいな。一気に6本とかはさすがに大変だから。 ──「M-1」グランプリへの意欲は? 坂井:「M-1」は出ますけど。 金ちゃん:本当か? 1回考えよう? 坂井:今回は「M-1」に向けていいネタ作ろうと思ったけど、「M-1」ではできない内容にはなっちゃいましたね。 金ちゃん:それが俺らなのかもしれないですね。爆笑問題さんみたいに、寄席とかで披露できたらいいのかなって。テレビとかでネタやれる機会あったら試したいなっていうのは思います。