米誌の指摘「トランプ復帰に世界が備えるなか、政情不安定な日本がリスクを抱えている」
米メディア「ブルームバーグ」は、世界が米共和党候補であるドナルド・トランプの大統領再就任の可能性に備えるなか、日本は政権が不安定な状態にあると報じ、国際問題において存在感を発揮できるのか疑問視している。専門家たちが指摘する、いまの日本が抱える政治的リスクとは──? 【画像】米誌の指摘「トランプ復帰に世界が備えるなか、政情不安定な日本がリスクを抱えている」
国際舞台でのリーダーシップは薄れる
10月27日の衆院選では、1990年代以来初めて明確な勝者が不在となり、世界第4位の経済大国を弱体化した政府が運営することがほぼ確実となった。 当面は石破茂首相が現職を続行することになる。石破は28日、自由民主党が2009年以来初めて過半数割れとなった後も、首相の座を退くつもりはないと表明した。 しかし、たとえ「国防オタク」を自認する石破を首相に据えたとしても、政権基盤が不安定な状況では、ウクライナ紛争や強硬姿勢を強める中国に対する台湾支援など、世界的な問題において日本がより大きな指導的役割を果たすことができるのかという疑問が生じる。 また、政権の基盤が揺らぐことで、数十年にわたる金融・財政刺激策からの脱却を目指す日本の取り組みが遅れる可能性もある。 石破は先月の自民党総裁選での勝利直後に衆議院の早期解散総選挙に打って出た。しかし10月1日に首相に就任したいま、戦後もっとも在職期間の短い首相となることを避けられるか、厳しい試練に直面している。
トランプの主張にいかに対応するのか
トランプ前大統領の在職期間のほぼすべてにわたり首相を務めていた安倍晋三元首相と比較すると、来週の選挙で共和党候補がホワイトハウスを奪還した場合、日本の次期指導者は議会を掌握しておらず、共和党候補の要求に応えることはできないだろう。 トランプは、すべての国からの輸入品に10%の関税を課すほか、日本製鉄による米鉄鋼企業大手USスチール社の買収を阻止すると公言しているが、それ以外にも在日米軍駐留経費の負担増を日本に求めることを繰り返し主張している。この経費負担に関する合意は2026年に更新される予定である。 ブルッキングス研究所東アジア政策研究センター所長のミレヤ・ソリスは「連立政権や少数与党では、防衛費負担に関する協議をするだけの影響力がなくなり、そのような交渉はより困難になるかもしれない」と語っている。
Alastair Gale and Yoshiaki Nohara