”誤審”続きのパリ五輪に「なぜ怒らない?」外国人記者が指摘する日本の「武士道」と「潔さ」の呪い
「日本の選手団はなぜもっと怒らないんだ? これだけ理不尽な判定が繰り返されているのに。もし武士道とかスポーツマンシップを気にしているのなら、その考えは今すぐに変えたほうがいいよ。抗議せずに黙っている時間が長ければ長いほど、国際社会、とくにスポーツの世界ではナメられるんだから」(パリ五輪で男子バスケットボールを取材するアメリカ人記者) 「焼き肉から〝夜練〟」宮田笙子飲酒問題で再燃しそうなナショナルトレーニングセンターの選手至上主義 現在開催中のパリ五輪で、“疑惑の判定”が連発されている。まず議論を呼んだのは、7月27日の柔道男子60kg級準々決勝。日本代表の永山竜樹(28)が、スペイン代表のフランシスコ・ガルリゴス(29)に、「待て」がかかった後にも締め続けられ失神、技が決まったとみなされて一本負けを宣告されたのだ。 「永山は判定に対する抗議として相手との握手を拒否、しばらく畳から降りませんでしたが、判定は覆りませんでした。7月31日の柔道男子90kg級決勝では、村尾三四郎(23)が合わせ技一本で勝利かと思われる場面で審判が技ありを取らず、逆に合わせ技一本で敗退。あと一歩で金メダルに届いていただけに、ビデオ判定さえなく試合が続行されたことは非常に悔しい。 ただ、柔道界には『過ぎた勝負の結果をいつまでも嘆くことなく、潔く負けを認める』という美学がある。現に、永山は自身のSNSで声明を発表し、『誰がなんと言おうと私たちは柔道ファミリーです!』と、ガルリゴスと和解したことを明かしています」(柔道連盟関係者) “疑惑の判定”があったのは柔道だけではない。7月30日に行われた男子バスケットボールの日本対フランス戦の第4クオーター、日本が試合時間残り10秒、4点差でリードの場面で、相手の3Pシュートを河村勇輝(23)がブロックに飛んだところ、ファウルを取られて4点プレーに。土壇場で追いつかれた日本は、延長戦の末に敗れた。 「4点差あったから、カワムラはリスクを冒してまでブロックに飛ぶ必要はなかった。でも、彼がファウルしていないのは誰から見ても明らか。あのジャッジを完全に信じていたのは、審判とフランスだけだと思うよ。ルイ(八村・26)が退場になったのも、到底理解できない。なんであれがアンスポーツマンライクファウルなんだよ。フランスを勝たせるための判定としか思えない」(前出・アメリカ人記者) 実際、八村は退場後メディアの取材に応えることなく無言で会場を後にし、河村は「レフェリーが全て。微妙なところのコンテストをしてしまった自分が悪い」とコメント。判定に対する抗議の意思は示さなかった。 「日本では、アスリートが幼少期の頃から“審判は絶対”という教育を受ける。だからこそ試合で、それも世界中の注目が集まる大舞台で審判に猛抗議することは許されないと考えたのではないでしょうか」(現地を取材した記者) 永山の“疑惑の判定”に対しては、全柔連が国際柔道連盟に文書で抗議の意を伝えたが、その回答は要領を得ないものだったという。 「申し訳ないけれど、柔道の判定もバスケットボールの判定も、選手が日本人ではなくアメリカ人だったら結果が変わっていたと思うんだ。同じ判定が僕たちに下ったら、今回とは比べ物にならないほど強い抗議が飛び出すだろうからね。アジア人が差別されているかはわからない。でも、日本人は静かだし、もし怒るとしてもネット上で、それも英語やフランス語ではないから影響がないと考えている人は多いように思う。だから、ナメられないためには“怒り”をちゃんと表明する必要があるんだよ。それは真っ当なことなんだから」(前出・アメリカ人記者) 柔道の両選手は金メダルが、男子バスケットボールチームは史上最高の勝利が、審判の判定によって失われた。潔く負けを認める美学は尊く、大切にしたい日本人の心構えだが、国際大会では時に“怒りを大きく主張する”ことも大切なのかもしれない。
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