“SNS自作自演”でビジネス、あえての炎上商法も 「8割の人は過程に関心がない」「人は数字として見ている」 『新宿の女』運営者に聞く
去年10月、景品表示法にステマ規制が盛り込まれ、法的にNGとなったばかり。宣伝には見えない自作自演の炎上商法はセーフなのか。リデル代表で国のステマ規制検討会にも出席した福田晃一氏は「内容の良し悪しは関係なく、広告であるにも関わらずそれを明瞭に明かさず一般消費者に誤認を与えてしまう行為が規制される。対象になるのは広告の依頼主側なので、いわゆるインフルエンサーなどの個人は当たらない。BOSSさんは罰せられない」と説明した。
■人は誰しも自作自演する? ネットに疲れも?
ビジネス目的ではない自作自演も多い。自分の投稿に別アカウントから「可愛い」とコメントする、痴漢に嘆く投稿に別アカから「どうせ被害に遭いやすい格好してたんだろ」とコメントして同情の声を集める、といった行動。明治大学教授で臨床心理士の諸富祥彦氏は、「承認欲求を満たすため。欲求に従って行動してしまうので、人は誰しも自作自演する」としている。
一方で、福田氏は「承認欲求はだんだん減ってきていると思う。それよりも、今は“関係維持欲求”。わかり合える場所で、小さなコミュニティでもいいからここで議論したいと。Xで言うとどうなるかわからないので、チャットコミュニティで話すというものになってきている」と分析する。 BOSS氏にも承認欲求はあったというが、「SNSを長くやると同時に、“くだらないな”と。みんながあらぬことを信じてしまう現実に心が荒み、ビジネスマインドに切り替えた。自分の思いどおりになっているのはある意味皮肉だし、リツイートしてどうのこうのとかバズっているから何?と。数字だけのものになった」と変化したそうだ。
ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「テレビ黄金時代の優秀なプロデューサーと発想が同じ。視聴者を単なる数字として捉えて、それをいかに上げるかということだけに能力を投入する。向こうに人間がいることをあまり意識していない。1970、80年代にはそういう空気があった」と指摘。 一方で、「2000年代にインターネットが広がり、“この世界で頑張るぞ”という楽しさが2010年代ぐらいまであった。しかし、ネットの広い世界に我々は疲れ始めていて、もう少し狭い共同体に依拠したいという欲求が高まってきているのは間違いないと思う」とした。(『ABEMA Prime』より)