完勝で王座を防衛した中谷潤人

　リングの上で豪快な〝KOの華〟を咲かせた。ボクシングのWBC世界バンタム級タイトルマッチで王者の中谷潤人（26＝M・T）が同級1位ペッチ・ソー・チットパッタナ（30＝タイ）を6回2分59秒TKOで破り2度目の防衛に成功。「スター性が足りない」との声を、期待に応えるファイトでねじ伏せた。 　挑戦者は77戦してダウンがない驚異のタフガイ。それに対し中谷は長いリーチを生かした多彩なパンチを放って優位に試合を展開した。そして、6回に左ストレートからの連打でダウンを奪うと、追撃から最後も強烈な左ストレートを叩き込んで葬り去った。 　2023年には米国の権威ある専門誌「ザ・リング」の年間最優秀KO賞に選ばれるなど世界的な評価を高め、勝利だけでなく内容も求められる存在となっている中谷。リング上のインタビューでは「世界戦でノックアウトする機会が増えてきているので、お客さんのみなさんも喜んでくれたらうれしいと思っています」と期待に応えるKOに満足感をにじませた。 　しかし、温厚な中谷発言は控えめに受け止められるのか、元WBA世界ライトフライ級王者の具志堅用高氏は自身のユーチューブチャンネルで「少しスター性というかね。引き付けるものがちょっと足りないかな」と指摘。このことについての本紙の問いかけに対し、中谷は「僕は僕らしく。（リング上での戦いが）ボクサーなので、そこはしっかり」と意識しない発言をしていた。 　だが、この日に見せた一目瞭然の豪快KOはアピールするには十分。試合後の会見では、快進撃に世間の注目が追いつきつつある状況にあることを問われた中谷は「注目が大きくなればなるほど期待が大きくなってくる」と自覚し、「期待を上回るというのが僕の仕事。みなさんに何か感じてもらえるコンテンツだと思っている。楽しみに待ってもらえる人が増えれば、パワーになるのでありがたい」と、リング上での戦いこそがファンの楽しみであることを強調した。 　リングの外ではなく中で輝くのがボクサーだ。