ECCレディースで優勝した山城奈々（撮影・永田淳）

＜国内女子ステップ・アップ・ツアー：ECCレディース＞（日刊スポーツ後援）◇最終日◇11日◇兵庫・北六甲CC東C◇6516ヤード、パー72◇賞金総額2000万円（優勝360万円）◇晴れ、22・1度、北北西の風4・7メートル◇観衆1060人 　山城奈々（30＝イチケン）が7バーディー、1ボギーの6アンダー66で回り、通算15アンダーの201の大会記録で逆転優勝した。首位と4打差の3位で出て、前半だけで4バーディー、後半にも3つスコアを伸ばして頂点に立った。2打差の2位に吉川桃（26＝美・Style）が入り、ベストルーキーに稲垣那奈子（20）、ベストアマに黒崎美羽（17）、山本唯依（20）、佐藤涼音（14）の3人が選ばれた。 　　　　◇　　　◇　　　◇ 　最終18番パー4でウイニングパットとなるパーパットを決めると、山城は右手で力強くガッツポーズして喜びを爆発させた。直後には「泣くつもりはなかったのに、みんなの姿を見た時に、涙が出てきた」と感極まり、逆転での8年ぶりVを抱き合って喜んだ。 　9番パー4でこの日唯一のボギーを出したが、続く10番パー5、11番パー4で連続バーディーで持ち直し、最後のティーショットに成功した瞬間に「もうこれで勝てる」と確信した。 　プロ3年目の16年にステップアップツアーで2勝したが、以降はティーショットに苦しみ続けた。スイング修正をきっかけに「何が正しいのかわからなくなった」といい、自信を失った。復活に向けて考えたのは「たくさんの人にアドバイスをもらうこと」。その一環として、今年1月にはオリックス山岡泰輔投手らの自主トレに参加。移動動作で心身を鍛える「パルクール」のメニューで、鉄パイプの上を飛ぶ山岡の姿に驚いた。「これぐらい自分の体をコントロールできれば、もっといいショットが打てるはず」と自身の練習にも取り入れ、改善につなげた。 　そんな苦労と努力の末につかんだVに「やっと不安から解放された。ここからまた上を目指したい」。山城は涙の後に最高の笑顔を見せた。【永田淳】