センバツ高校野球 健大高崎、初戦快勝 6-2で下関国際降す /群馬
第93回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高野連主催)で健大高崎は大会初日の19日、1回戦で下関国際(山口)を6―2で降した。二回裏、1死一塁で伊藤翔哉(3年)が中越えの適時打で先制。投げては先発の高松将斗(同)が相手打線を3安打、2失点に抑え、完投勝利を収めた。次戦は大会6日目(24日)の第3試合で、宮崎商―天理(20日試合予定)の勝者と対戦する。【川地隆史】 先発の高松が2失点完投し、2回戦に駒を進めた。 昨秋の県大会、関東大会は継投策で勝ち進んだが、この日は高松が1人で投げ切った。初回の先頭打者に四球を出したものの、その後は直球やスライダー、カットボールを中心に組み立て、八回までわずか1安打を許したのみで、8奪三振の快投をみせた。 マウンドで気迫のこもった投球をみせる息子の姿に先発起用を知らされていなかった父の裕(ゆたか)さん(45)は、「(心配で)のどが渇きそうでした。緊張するかな、と思ったけど楽しそうに投げてましたね」と目を細めた。 自慢の打線は二回裏、1死一塁で伊藤が中越えの二塁打を放ち先制。母・充子さん(45)は「(頭上を)抜けてほしかったので、『いけ!』と思っていた」と喜んだ。 だが、三回以降は八回まで1安打と、持ち前の強打は鳴りを潜めていた。八回に桜井歩夢(3年)が三塁手の失策で出塁すると、すかさず二盗。続く主将の小沢周平(3年)が右越え二塁打を放ち、貴重な追加点を挙げた。伝統の「機動破壊」に長打を絡め、下関国際を突き放した。 青柳博文監督は試合を振り返り「最初は100球をめどに、次は失点をめどに継投を考えていた」という。だが、テンポ良く投げ込む高松の姿に「投球がよかったので最後まで任せた」と信頼を寄せた。 6―2で初戦を突破した。公式戦の初先発の高松を小沢は試合前に「足をしっかり地につけてやっていこう」と励ましていた。2回戦に向け小沢は「緊張感もあったが、仲間内でしっかり話し合えたことが収穫。次に向けて改善できる点は修正していきたい」と語った。 ◇ガイド本読み応援 〇…アルプススタンドから試合を見守った健大高崎の生徒たちは、野球部の小谷魁星コーチが作成した「応援ガイドブック」を事前に読み込んでいた。ガイドブックには野球部の選手やスタッフの紹介のほか、初心者にも分かりやすいように、野球のルールが詳しく書かれている。2年生の菅野恭一郎さん(16)は、「先輩の野球部員は知らない人たちが多い。事前にメンバーの顔などが分かり、応援に熱が入った」と満足げ。サッカー部に所属する3年生の梶山流星さん(17)は、遊撃手として先発出場した吉里竜門選手(3年)とクラスの席が前後で親しいという。「野球のルールに詳しくないので、ガイドブックはありがたい。自分もサッカーの試合へのモチベーションが上がる」と刺激を受けていた。 ◇入場行進に拍手 〇…午前9時の開会式は新型コロナウイルス感染防止のため、健大高崎を含む大会初日の試合校6校のみが参加した。主将とプラカードを先頭に3番目に入場すると、保護者らが見守るライトスタンドからは拍手が起こった。プラカードを持った吉田慎之輔の父、順さん(53)は「息子が行進しているのは何とも言えない感激だ」と話した。 ……………………………………………………………………………………………………… ■ズーム ◇初先発で勝利に貢献 健大高崎・高松将斗投手(3年) 公式戦では初めての先発を任され、完投を果たし勝利に貢献した。「完投できたことは自信につながる。次も勝利に導けるピッチングをしたい」と気を引き締めた。 先発が決まったのは試合前日。「元々先発を目指していたので、『一本も打たせない』」との気持ちで臨んだ。 昨秋の県大会、関東大会は抑えでの起用がメインだったが、冬期間は「完投できる投手に」と下半身の強化に努めた。脚を高く上げるフォームに改善し、直球の最速は141キロまで伸びた。 この日は直球とキレの良いスライダーを武器に四回以降、4イニング連続で3者凡退に抑えた。三振を取るとスタンドに響くほどの声で「しゃあ!」とほえた。 最終回に先頭打者に内野安打を許し、続く打者に投じた初球の直球を左中間に運ばれ完封を逃した。ナインからは「九回は流れが相手に向きやすいから一人一人集中しよう」と声をかけられた。 初の先発起用に十二分に応え、青柳博文監督も「本当にいいピッチングをした」と評価したが、「今日の投球は70点」と語る。最終回での失点を悔やみ「満足せずに、全員一丸となって勝利を目指したい」。【川地隆史】 ……………………………………………………………………………………………………… ▽1回戦第3試合 下関国際 000000002=2 健大高崎 02000004×=6