【エプソムカップ】絶好調の秘密は人馬の絆 石川裕紀人&マイネルケレリウスが積み上げた信頼関係/新人記者のトレセン日記
新人記者・栗栖歩乃花のトレセン日記
美浦トレセンで記者生活をスタートして1か月がたちました。新入社員の栗栖歩乃花です。今回はエプソムCに出走する鹿毛と黒のメンコがかっこいいマイネルケレリウスに注目しました。 まず気になったのは、デビューから13戦中10回ケレリウスくんの手綱を取っている石川裕紀人騎手との絆についてです。奥村武調教師は「(関係性は)いいなと思うよ。よく勝っているし、新馬の時から乗っていて(馬のことを)知っているから強みになると思う」と長い月日をかけて築いた信頼関係が強みになることを教えてくれました。 当の石川騎手に成長について聞いてみると、「教えた競馬を吸収するのが早いんです。(昔は)乗り難しいところもあり、試行錯誤をしてきました。前走はそのかいあって折り合いがうまくつき、最後に末脚を使い、バチンとハマってくれました」とのこと。「体の成長も感じるけど、メンタルが強くなっていると感じますね」ともおっしゃっていましたから、精神面も良化しているようです。奥村武師も同様の成長を感じているようで、「楽に動けるようになってきた。自信もついてきているよ」と話します。
「頑張った後には必ず…」
でも、ケレリウスくんは、初めから堂々としていたわけではありません。レースに勝つことで変わってきたようで「集団の中で先頭を走っていることは何度か経験すると分かってくる。それ以外にも、人間が喜んでいる雰囲気は馬も感じ取っているから、そういうところから自信をつけるんだよ。自分たちも、頑張った後には必ず褒めるようにしている」と奥村武師はその過程を教えてくれました。 では、自信がつくとどんな良いことがあるのでしょうか。奥村武師が馬の生活との興味深い関係性を教えてくれました。 「馬は集団生活をしていて、何か危険が襲ってきた時には走って逃げる習性があるんだよね。だから、自分の脚が周りの馬と比べて速いか遅いか分かっているんだよ。そこで、自信のある馬は『速いから逃げ切れる』と堂々としていられるけど、遅いと思っている馬は常に逃げるために構えているんだ。競馬でいう、イレ込むのは自信のなさの表れなんだよ」 一見、短所に見える馬の本質。でも、自信をつけることで長所に変えることができるんですね。今回の最終追い切りでも「戦闘モードになる馬だけど、いい意味で落ち着きがあります」(石川騎手)と、どっしりしてきたことがうかがえる絶好調のケレリウスくん。新馬の時からともに歩んだ石川騎手と、どのようなレースを見せてくれるのか今から楽しみです。
栗栖 歩乃花