宝塚出身「七海ひろき」が“元男役”として切り開くジェンダーレス時代の「セカンドキャリア」
人気SF漫画の初舞台化として話題になっている舞台「サイボーグ009」(5月18~26日、東京・日本青年館ホール)で主役の島村ジョーを演じているのは、宝塚歌劇団出身の俳優として注目を集めている七海ひろき(年齢非公表)だ。 【写真6枚】神々しいほどの美しさ…「七海ひろき」の写真をもっと見る 七海は元男役人気スターで2019年に退団。その後、俳優や声優として活躍しているが、彼女の立ち位置は元宝塚の中でも異色といえる。 「卒業後も芸能界で活躍する宝塚OGは多いですが、男役スターは退団後、女性役で活動を継続するパターンがほとんどです。真矢みきさんや天海祐希さんもすっぱりイメチェンをして、男役のイメージはなくなっていますよね。しかし、七海さんはちょっと違っていて、退団後も男役を継続しています。しかも、男性役だけでなく、男装女子を演じるなど、宝塚時代を思い起こさせるような役も多い。それだけに現役時代からの熱心なファンが多くいるんです」(宝塚に詳しい芸能ライター) 宝塚時代は粒ぞろいで“華の89期”と呼ばれた世代。同期と切磋琢磨(せっさたくま)しながら、七海は「風と共に去りぬ」のスカーレット、「ベルサイユのばら-フェルゼンとマリー・アントワネット編 -」のオスカルなど宝塚歌劇代表作の大役を好演してきた。クールな雰囲気と端正なルックスで、宝塚時代は“ひろきのお兄様”と呼ばれていた。また、もともとアニメ好きだったこともあり、アニメで男役の声優にも挑戦するなど、在団中から独自路線で人気を得た。
■宝塚に変革を求めたことも話題に 「退団後は舞台やアニメで、年齢・性別を問わず幅広い役柄で縦横無尽の活躍を見せています。人気ゲーム『刀剣乱舞-ONLINE-』を原案とした舞台では、初の女性キャストとして細川ガラシャを演じて話題に。また、七海のほか2人の宝塚男役OGと男装女子を演じたテレビドラマ『合コンに行ったら女がいなかった話』では、テレビドラマ初出演にしてほぼ全編男装姿で出演し、新たなファン層を開拓しています。もともと退団後は『男の俳優さんの中に入って男の役をやってみたい』インタビューで語っており、『宝塚の男役とは違う、性別に関係ない人間としてステキな役も』やりたいと、まさにジェンダーレス・ボーダーレスな活躍を視野に入れているようです」(同) 声優への挑戦に関しては、在団中から綿密に計画を立てていたわけではなく、退団後にその道に進むことを決めたという。本人はインタビューで「退団してから『何をしようかな』と改めて考えた時に、小さい頃にもうひとつの夢として心に持っていた『声優』をやりたいと思いました」(「Domani」20年7月25日配信)と述べている。 幼いころの夢だった声優、縁あって挑戦することになった音楽など、精力的に新しいフィールドに挑戦し続けている七海。退団後も男役を演じ続けることに関しても、過去にインタビューで「スカートは一枚も持っていない」「トライしようと思ったことはないし、今現在も思っていない。これが私の“マイスタイル”」(「@BAILA」22年10月15日配信)と語っており、心の奥底で貫かれている信念があるようだ。 「昨年の宝塚パワハラ転落死の問題での対応も、他のOGとは一味違っていました。自身のYouTubeチャンネルで、宝塚は『外の世界から孤立していて、外からの情報が全く届きません。そこにいると浦島太郎のようになります』と、宝塚の内側から見える景色と外側の世界との違いを語ったのです。また、世間に対しては宝塚という特殊な環境への理解を求めつつ、『時計をちゃんと動かして、令和の時を刻んでいっていただきたい』と、変革を求める発言が注目を集めました」(週刊誌の芸能担当記者)