西山朋佳女流三冠、プロ編入試験でカド番も…珍しい四間飛車に「驚いてもらえたかと」「充実感もあった」
将棋の西山朋佳女流三冠=白玲、女王、女流王将=が8日、大阪・関西将棋会館で指されたプロ棋士編入試験五番勝負第3局で、試験官の先手番・上野裕寿四段に109手で敗れ、試験は〇●●の1勝2敗となり、カド番に追い込まれた。 西山は第2局(10月2日、山川泰熈四段=負け)が終わってから準備していたという四間飛車で勝負。「実戦ではあまり指していない戦型なんですけど、今回、採用してみたかった。驚いてもらえたかと思ったんですけど。ある程度、可能性があるのかなと」と序盤は手ごたえ十分だった。 実際、昨秋に新人王、先月に加古川清流戦を制して5人の試験官で最も実績がある上野も「正直、予想してなくて、意表を突かれた」と苦笑いした。 的確な指し回しで中盤まで互角に渡り合い「悪くないと思っていた」ものの「飛車角交換(73、74手目)になった辺りで少し差が開くような展開になってしまった。攻め駒もなくなり苦しくなった」と劣勢を意識。一筋に移した飛車に2二歩と打たれ「予想以上に厳しくて、軽視してしまったところがあった。その辺りで疑問符があったかな」と悔やんだ。 2022年に編入試験を受けたライバル・福間香奈女流名人(当時・里見香奈)=清麗、女流王座、女流王位、倉敷藤花=に続く女性2人目の挑戦。福間は3戦全敗で不合格だったが、西山は開幕ダッシュは決めたものの、2連敗で後がなくなった。悲願には2連勝するしかない。 第4局(12月、宮嶋健太四段戦)は大阪市福島区から大阪・高槻市へ移転する新しい関西将棋会館で指される。「本局は負けてしまった格好ではあるのですが、新しいこと(四間飛車)を試して結構、充実感もあったので、次回も課題を持って挑めればいいな」と、時折笑顔もこぼすなど、果敢なチャレンジ精神を言葉ににじませた。
報知新聞社