杉咲花、若葉竜也との第9話ラストシーンに「いつまでもああしていたい14分でした」<アンメット>
杉咲花が記憶障がいを抱える脳外科医を演じる医療ヒューマンドラマ「アンメット ある脳外科医の日記」(毎週月曜夜10:00-10:54、フジテレビ系)の第10話が、6月17日(月)に放送される。クライマックスを前に杉咲花からコメントが到着し、印象に残っているシーンや打ち合わせの様子などを明かした。 【写真】「恐ろしい」と演技力が話題の杉咲花と若葉竜也 ■第9話はSNSでトレンド1位の反響 6月10日に放送された第9話では、冒頭で綾野(岡山天音)と麻衣(生田絵梨花)のスピード入籍に加え、綾野病院と丘陵セントラル病院が法人合併することが発表され、SNS上では、放送開始直後から祝福の嵐。一方で、ミヤビ(杉咲)がある人物に得体の知れない恐怖を感じたことを皮切りに、ミヤビの記憶障がいの本当の理由が明かされる様子も描かれた。 そんな中、視聴者の涙を誘い大きな話題になったのが、ミヤビと三瓶(若葉竜也)によるラストシーン。SNSでは「ドキュメンタリーを見ているよう」「ナチュラルすぎてせりふかアドリブかわからない」と放送中から話題沸騰。放送後にも、「私たちはとんでもないものを見せられた」「日本ドラマ史に残るようなラストの対話シーン」「あの2人だからできたシーンだった。杉咲花×若葉竜也、恐ろしい」と、ミヤビと三瓶のリアルな会話劇に多数のコメントが寄せられ、X(旧Twitter)では“#アンメット”が日本トレンド1位、さらに世界トレンド1位も獲得した。 6月17日(月)放送の第10話では、一過性健忘の症状が現れたミヤビの脳の詳細を、ついに三瓶が知ることに。しかし非情にも、その事実は三瓶を悩ませることになる。三瓶がどんな決断を下すのか注目が集まる。そして、当のミヤビも、未来の自分を彷彿とさせる患者を診ることにより、かつてないほどに不安を募らせ、そしてある決意をするまでが描かれる。 ■杉咲花コメント ――ついにラスト2回の放送となりました。これまでの放送を終えて、今の心境をお聞かせください。 さみしくてさみしくて。 あと90話分くらい撮影していたい気持ちです。 ――周囲の反応・反響はいかがですか。杉咲さんに届いたメッセージで、うれしかったことはどんなものがありますか? 周囲の反響で言うと、同業者の方々からこんなにも感想のご連絡をいただいたのは、初めての経験でした。こんなドラマに関わりたいと感じられるような作品作りができたら…という自分たちの密かな夢が、少し輪郭を成したような気がしてぐっときてしまいます。 ――ミヤビの日記や血管吻合もご自身が担っているとのことですが、ご多忙の中、時間をかけ相当な努力を陰でされていて…休憩中や自宅でも何時間でも没頭してしまうため、周囲も一度は止めたと聞いています。ご本人としては、どのような思いから取り組まれたのでしょうか? 負けず嫌いだからです(笑)。 去年の12月に監修の石川久先生から初めて縫合を教わった時、全然できなくて途方に暮れました。できないことを突きつけられた瞬間、この先カメラの前に立っても自分は医者じゃないと思ってしまう気がしたんです。目の前にあるたったひとつのことだけでもできるようになったら、川内ミヤビとして存在する自信になる気がして。毎日縫う練習をしました。 ――これまでの放送で、好きなシーン、印象に残ったせりふがあればお教えください。 数えきれないほどありますが、第9話のラスト、医局での三瓶先生とのやり取りが忘れられません。現場にいた全スタッフが大きな輪になってリハーサルを見つめ、各部署がアイデアと体力を振り絞って長回しに臨みました。自分でも信じられないほど緊張しましたが、俳優がどんな動きをしても絶対に捉えてやるという熱量で重たいカメラを担ぎ続け、どこが切り取られても最高に美しい光をセッティングし、ひとつの吐息も録りこぼさないほどの気概で音を拾い、祈るように見守ってくれているスタッフさんに囲まれながら行われた撮影。いつまでもああしていたい14分でした。 ――杉咲さんのアイデア、ご提案で実現したシーンや撮影方法などもあったと聞いています。(第2話のサッカー少年とミヤビが向き合う、高架下でサッカーボールを蹴り合う長回しのシーンなど)具体的にどういったシーンだったか、その時のお考えなどお聞かせいただけますか? 高架下のシーンでは、亮介が自分の状態や気持ちをとても繊細に実感する重要なシーンでした。ゲスト出演というただでさえ緊張する環境のなかで、そこにいる人たちを信じて心を裸にしていく時間はとてつもないプレッシャーに襲われるはずで。少しでもフラットにその瞬間を生きられるために、Yuki(Saito)監督とアイデアを出し合って、30分間の長回しをすることが決まりました。 第2話に限らずですが、1つのシーンにおいて1台のカメラでさまざまなアングルから撮影を重ねていくなかで、どのような撮り順で進めていくかについてはかなり話し合いをしました。自分が経験してきた現場は、どんなシーンであっても一発目は主人公から撮っていくことが多かったんです。だけど、主人公だけが輝いていても良い作品にはならないと思っていて。だからこそ、そのシーンにおいて何が一番重要で誰を輝かせたいのかを密に考えながら、鮮度のある表情を大切に納めていくことについて、監督や米田(孝)プロデューサー、若葉さんと徹底的に話し合いを重ねました。 ――また、脚本作りにも参加されたとのことですが、どのように打ち合わせを重ねられ、どのように杉咲さんの思いが反映されていますでしょうか。 打ち合わせは主に米田プロデューサー、Yuki監督、若葉さんの4人で行うことが多かったのですが、特にそれぞれの役のせりふにおいて適正な言葉を精査すること、伝えたいことを言語だけに頼らず表現する方法を探すことに注力していきました。 例えばたった一言のせりふや語尾、“てにをは”についての精査に1時間以上かかることも日常的で、決定的な情報を敢えてせりふにしないことに関しては緊張が走る瞬間もありました。ですが説明しすぎないということは、受け手を信じるということで。作劇上の都合で出口を誘導するのではなく、それぞれの役がひとりの人間として気持ちの筋を通すことを最優先するため、さまざまな視点からの擦り合わせを心がけていました。 ――SNS上で、ミヤビがそこに生きているかのような、杉咲さんのナチュラルな演技に反響が大きく、また食事のシーンが印象的と話題です。ご本人としては、意外な反響に驚いたこと、反応・反響をみて思っていたことなどありましたらお聞かせください。 やはりみんなで時間をかけて話し合ってきたことについて、視聴者の方々がしっかりキャッチしてくださっていることがすごくうれしくて。意図していなかったところでも、その人だけの感性で受け止めて、その人だけの物語が育まれていっていることが最高にうれしいです。 ――撮影現場での思い出深いエピソードお教えください。 みんなで集まってオンエアを見届けたり、スタジオの前室でお米を炊いて食卓を囲むような時間を過ごしたり、キャリアや部署を問わず、くだらない話でゲラゲラと笑っていたり。時にはすれ違いが起きて、気まずい空気が流れた場面もありました(笑)。だけどそれは、真剣だったから。 毎日を一緒に過ごしていると、いろんないろんなことが起きるけど、喜びも涙も、好きなお菓子もみんなで半分こすることができたすべての瞬間が宝物です。 ――杉咲さんは撮影が始まる前、全スタッフの顔と名前を覚えられるようスタッフ一覧を作られたり、現場にパーカーをプレゼントして一人一人の名前を直筆で添えたりなど「アンメット」に関わる方々に深い愛情と熱意をかけられているのが伺えます。座長としての思い、お考えをお教えください。 感謝とか愛情は、言葉や態度でなるべく伝えていきたくて。 軽やかに伝えることって難しいし、自分にできることも少ないですが、作品に関わるひとりひとりが大切で、誰もが欠けてはいけない存在であることをみんなで共有できたら、現場が“行かなきゃいけない場所”じゃなくて、“明日も行きたい場所”になるんじゃないかなって。またみんなに会いたいです。 ――第10話や今後の展開のみどころ、視聴者にメッセージをお願いします! 「アンメット」が大好きでたまらないみんなと力の限りを尽くした自信作です。是非お家のテレビで観てください。