井上尚弥が挑む王者マクドネルが現体重公表を断固拒否。晴れぬ体重超過疑惑
途中、上半身裸になったが、筋骨隆々で分厚かった。 178センチの体格にしては、頬もこけていなかったし、減量に苦しんだ後がそれほど見えない。サウナスーツも着ずに薄着で動き、途中、水をがぶがぶ飲んでいた。 今の体重は?の質問に 「それは言いたくない。もうアンダーかもな」と、回答を拒否した。 昨年、スーパーバンタムへの転向を宣言したが、それは減量の苦しさが理由ではなく「バンタムではビッグマッチをやれる機会が少ないと思ったから。今回井上と防衛戦ができWBSSなどもチャンスがあるため再びバンタムで戦うことを決意した。今後も、ここに留まるつもりだ」と説明した。 元WBC世界バンタム級の名王者、山中慎介と意図的としか思えない体重超過で戦って大顰蹙を買ったルイス・ネリ(メキシコ)に、フラフラになって体重を落とせず王座を失った元WBC世界フライ級王者の比嘉大吾(白井・具志堅S)と、ここ2試合、世界戦での体重超過の失態が続き大きな問題になった。 そのことを伝え「あなたは本当に大丈夫ですか?」と念を押すと、むっとした表情で「順調だ。何も心配はない」と答え、横からコールドウェル・トレーナーが「今まで4年間、タイトルを守ってきたが、一度も体重超過などしたことがないことをお前は知っているのか?」と、記者の目を睨んで気色ばんだ。 そして、こうも力説した。 「我々は、科学的トレーニング(ボクシング・サイエンスという会社)のサポートを受けていて、そのスタッフも帯同している。栄養面、体重も管理してもらい、今まで苦労してきた減量の不安はなくなった。だから、この階級で引き続き戦えるんだ」 ――それならば今、何パウンドか言えるのでは?と、もう一度、突っ込んだが、それには「ノー」と答え、頑として現体重の公表を拒否した。 秤にのった数字を見ない限り、口だけで体重を明らかにされても信用はできないのだが、疑惑が晴れることはなかった。なぜここまで頑なに現体重を秘密にするのかも理解できない。確かに2013年5月にバンタム級の世界タイトルを奪って以来(最初はIBF王座)一度も体重超過はないが、目の前で見せられたフェザー級並みの体格と、昨年11月以来試合をしていない6か月のブランクを考えるとなおさらだ。 日本のリングから“永久追放”となったルイス・ネリも、栄養面の専門スタッフを共に来日させて、確信的に体重超過をした後、彼に責任を押し付けていた例もある。 前日計量まで残り3日。ある程度、ドバイでウエイトを作ってきていないと、この余裕は生まれないだろう。大橋会長は「プライド高きチャンプ。失敗はしないだろう」と話す一方で、陣営として体重超過が起きた場合に体重というハンディを背負って戦わねばならない心の準備もしているという。 井上が新たな歴史を刻む試合に泥を塗らないでもらいたいのだが……。ちなみにバンタム級のリミットは118パウンド、53.52キロである。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)