アカデミー賞主演女優賞候補『落下の解剖学』のザンドラ・ヒュラー、一躍セレブ俳優になった心境を語る
日本でも間もなく公開される映画『落下の解剖学』に主演、ゴールデン・グローブ賞で映画部門の主演女優賞(ドラマ)の候補になっていたザンドラ・ヒュラー。出身地であるドイツの舞台や映画で活躍してきた演技派俳優だが、これまでハリウッドでの知名度はいまひとつだった。しかしこの作品で英国アカデミー賞(BAFTA)やアメリカのアカデミー賞でも主演女優賞にノミネート、40代にして一気に世界的なトップ俳優となった。
そのザンドラが雑誌『バラエティ』のインタビューに答え、この大ブレイクについて語っている。注目されることには「まだ慣れていない」と話しつつ「朝、あまりの嬉しさに笑ってしまう。犬の散歩をしているとみんながおめでとうと言ってくれるから。見たこともない人たちが!」。ハリウッドには人からの注目を嫌がる俳優もいるけれど、彼女は知らない人たちからの祝福を喜んでいるよう。
この作品で高い評価を得ているのはザンドラだけではない。ゴールデン・グローブ賞では非英語作品賞を受賞、監督のジュスティーヌ・トリエは脚本賞を獲得した。アカデミー賞の作品賞、監督賞などにもノミネートされている。トリエ監督は雑誌『ハリウッド・リポーター』のインタビューでオスカー候補になった心境について語っている。「監督賞については私の他に女性監督がいないことに驚いた。もちろん自分がとても幸運だと思い、誇りに感じている。アカデミー賞の歴史に関わることができたのは私にとって大きな意味がある。これは夢ではない。なぜなら私には想像できないことだから」。
この作品は雪山の山荘で1人の男性が亡くなるところから始まる。最初は事故と思われたがやがて妻でベストセラー作家のサンドラに疑いの目が向けられ、彼女は起訴される。現場にいたのは視覚障害の11歳の息子だけという、彼女にとっては困難な状況で裁判は進む。その中で証人や検察によって夫婦の秘密や嘘が暴露されていく。ザンドラはヒロインのサンドラを演じている。
ちなみに彼女は『落下~』と並んでアカデミー賞の作品賞や監督賞にノミネートされている映画『関心領域』にも出演。BAFTAではこの作品で助演女優賞の候補にもなっている。賞レースが佳境に入る中、ますます注目が高まりそう。