初恋の相手と夫…三人の男女で描く縁の物語 注目の女性監督が語った『パスト ライブス/再会』
今作を観ると、どこの国の観客も、同じシーンで笑い、泣くというソン監督。多くの人々が、自分の人生における“イニョン”や愛について考えさせられるようで、さまざまな反応を見てきたそうだ。
「もしその観客が恋愛関係にあるなら、家に帰ってパートナーを抱きしめて、愛していると伝えたくなったと言われたし、今は恋人と悪い関係にあるから、それをやめるべきかもしれない、という人もいたわ。あなたの映画が、私に元彼との過去を乗り越えさせてくれた、という人もいた。とても個人的な体験だから、あなたがどういう人で、人生のどんなパートにいるかによって、ストーリーに対する反応が違うと思う。みんな、子供の頃に愛した人の話をしたがるから、私はどの監督よりも、人々の幼い頃の恋について知っているわ」とソン監督は笑った。
本作を手がけた大ベテランのプロデューサー、クリスチャン・ヴァションは、初監督とは思えないソン監督の手腕に感心したそうだが、会見での話しぶりからも、明確なビジョンを持ち、自信に満ちたソンの大物ぶりが伺えた。ハリウッドでもっとも注目される女性監督の一人となったソンの今後が楽しみだ。(吉川優子/Yuko Yoshikawa)