豊洲地下空間の水銀は水から気化か 専門家会議で空気測定
豊洲市場の主要棟下で土壌汚染対策の盛り土が行われなかった問題で、安全性などを検証する専門家会議の3回目の会合が10日、築地市場で開かれた。地下空間内を換気した上で行なった空気測定では、水銀の濃度が換気直後にいったん下がったものの、一週間後に再び増加した地点が複数あった。同会議は、水銀が内部にたまった水から気化した可能性が高いとして、今後は排水して調査を継続する。 【動画】豊洲市場PTが初会合 委員から「地下空間には誤解ある」発言も
前回の会合で、地下空間の空気中の水銀濃度が調査のたびに下がっているのは、人の出入りの影響を受けた可能性があるとの指摘があり、地下ピットを換気した上での空気測定が決まった。11月中旬から下旬にかけて換気を行い、換気を終えた直後と、その一週間後に空気測定を行い、換気前の測定値と比較した。 その結果、青果棟の地下空間内3か所で、換気前(11月10~11日)には国の基準の1.1~1.3倍の水銀が検出されたが、換気直後(同24~25日)はいずれも基準以下に減少。ところが、一週間後の今月1~2日には再び1か所で国の基準値を超えた(約1.3倍)ほか、残る2か所も換気直後よりも上昇した。水産仲卸売場棟の地下空間でもおおむね同様の傾向がみられた。 意見交換では、換気直後に濃度が下がったのは換気の影響が大きく、その後、再び濃度が上がったのは地下ピット内の水に含まれていた水銀が気化した可能性が高いとの指摘が出た。今後は水を強制的に排水し、底面を掃除した上であらためて空気測定を行うが、同会議の平田健正座長(放送大学和歌山学習センター所長)は、「時間がかかるので、早めに進めた方が良い」との考えを示した。分析結果は、次回会合には間に合わない見込みだ。 (取材・文:具志堅浩二)