『ブギウギ』視聴者を驚かせた水上恒司と趣里のキス 朝ドラで描かれた印象的なキスシーン
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』の第12週となる「あなたのスズ子」が放送された。目まぐるしい展開の中で、愛助(水上恒司)とスズ子(趣里)の恋は一気に盛り上がりを見せる。愛助の母からは相変わらず交際を反対されていたものの、2人はキスをするまでの仲に。戦時下の混乱の中でも、スズ子と愛助はお互いへの想いを貫いていたのだ。 【写真】水上恒司インタビュー撮り下ろしカット 特に印象的だったのは、やはりスズ子と愛助のキスシーンだろう。愛助の登場で、あっという間に恋仲になった2人は、歳の差や身分の差による反対を受けながらも諦めずにお互いを想い続ける。空襲警報が鳴り響く中トイレに篭るスズ子を愛助が呼び出すなど、戦争の過酷さや恐怖が日常の中にあったことが感じられるシーンも。 普通なら恋人同士がトイレの話をするなんて、ロマンチックじゃないと感じるだろう。しかし、命が何よりも大切な瞬間に、そんなことは言っていられない。こうして“生きる力”と“愛し合う力”が同時に描かれたことに、『ブギウギ』ならではの粋を感じた。 朝ドラのキスシーン自体は、『おちょやん』の千代(杉咲花)と一平(成田凌)や、『らんまん』での竹雄(志尊淳)と綾(佐久間由衣)など、これまでにも何度も描かれてきた。だが意外にも、主人公のキスシーンがアップではっきりと映し出される作品は少ない。『らんまん』では万太郎(神木隆之介)が寿恵子(浜辺美波)の頬にキスをしていたが、唇へのキスは描かれず。 『おちょやん』では舞台上の演出でキスをしたことになっている。そんな慎ましやかなキスシーンが多い中、『ブギウギ』の第60話はトイレ、空襲警報、キス、そして極め付けは吐血と凄まじい展開で視聴者を翻弄。スズ子と愛助のキスは、恋の盛り上がりと同時に、時代と環境に翻弄される2人の人生さえも象徴しているように見えた。 たとえこの恋が反対されようとも、時代が混乱の最中でも、仕事に行き詰まっていても、スズ子は自分にとって特別な愛の表現である「キス」で愛助に想いを伝える。それほどまでに高まる愛を表した趣里の芝居が、じわりと心に染み渡った。 『ブギウギ』と同様に、魅力溢れるキスシーンが描かれたのが『スカーレット』である。この作品では、主人公の喜美子(戸田恵梨香)と、恋仲になる八郎(松下洸平)が口付けする姿がしっかりと映される。普段の八郎が男らしくリードするというよりは喜美子を支えるような包み込む魅力のある人物だったことから、このキスシーンでの思わぬ色気に多くの視聴者が悶絶する事態に。八郎を演じた松下洸平の芝居が一気に視聴者のハートを射抜き、ファンを増やすきっかけにもなった。 スズ子のキスシーンについては、SNSで「トイレと空襲とキスを数分間で全部やった」「愛がたっぷりのキスシーンだけれど、さっきまでトイレ前でコントをしていた」などの声が。やはり衝撃的な数々の出来事に、まだ混乱冷めやらぬ視聴者も多い様子。だが、祝福ムードも束の間、キスの後には愛助が突然の吐血をしており、予告では「結核」という言葉も飛び出した。2人を阻むものがまた一つ増えてしまうのかもしれないが、己の愛を貫いて生きてほしい。
Nana Numoto