親が老後資金の不十分なまま、「定年」を迎えそうです。不安なので「生活保護」を受給してもらうことはできますか?
社会制度や世の中の流れの変化によって、今は「高齢者になるころには、誰もが老後資金を蓄えられる」という時代ではなくなりました。もし、親が定年を迎えるころに老後資金がなく、自分も面倒を見ることができないとすると、生活保護を頼ることはできるのでしょうか。 ▼「生活保護」の受給要件とは? 親族への扶養照会は必須なの?
老後資金ってどれくらい必要なの?
老後資金として必要なお金の額を、いったん「年金だけでは賄えない額」として計算していきましょう。 参考までに、総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要」によれば、65歳以上の夫婦のみの無職世帯においては、毎月3万7916円もの不足が生じています。また、65歳以上の単身無職世帯においては、3万768円の不足が生じています。 では、65歳で定年退職し、それから老後の生活が30年間続くと仮定して、この統計をもとに、不足する金額の総額を概算してみましょう。 65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、総額およそ1365万円が不足することになります。65歳以上の単身無職世帯においても、およそ1108万円が不足しています。 この金額は実際のところ、ライフスタイルや健康状態など、もろもろの条件によっても左右される部分ではあります。しかし、少なくとも老後資金は、1000万円は必要になると考えておくべきでしょう。
老後資金を不足したまま老後を迎える方は珍しくはない
「1000万円以上の老後資金が必要である」ということで、老後資金を用意できずに老後を迎える方は少なくないどころか年々増加傾向にあると考えられます。 実際、65歳以上の生活保護受給者数は、平成7年から令和2年までの間、右肩上がりの傾向が続いています。その結果、現在生活保護を受けている人数の半数は、65歳以上の方となっています。これについては、老後資金が不足した状態のまま、老後の生活に入ったことが原因と考えられます。 ここから、老後に生活保護を受給することは、少なくとも不可能ではないことが分かります。