『坂本龍一|音を視る 時を聴く』東京都現代美術館で 未発表作を含む大型のサウンド・インスタレーション作品約10点を展示
2023年3月に71歳で逝去した音楽家・アーティストの坂本龍一(1952-2023)の、大型インスタレーション作品を包括的に紹介する日本では初となる最大規模の個展が、12月21日(土)から2025年3月30日(日)まで、東京都現代美術館で開催される。 【全ての画像】坂本龍一+Zakkubalan《async–volume》ほか(全7枚) 坂本は、50年以上にわたる多彩な表現活動を通して、常に時代の先端を切り拓いてきたアーティスト。90年代からはマルチメディアを駆使したライブパフォーマンスを展開し、さらに2000年代以降は様々なアーティストとの協働を通して、音を展示空間に立体的に設置する試みを積極的に思考し、実践してきた。同展は、生前の坂本が東京都現代美術館のために遺した展覧会構想を軸とするもの。坂本の創作活動における長年の関心事だった音と時間をテーマに、これまでの代表作と未発表の新作から成る没入型・体感型サウンド・インスタレーション作品10点あまりを、館の屋内外の空間にダイナミックに構成・展開し、坂本の先駆的・実験的な創作活動の軌跡をたどる大規模な展覧会となる。 同展で坂本とコラボレーションするのは、高谷史郎、真鍋大度、カールステン・ニコライ、アピチャッポン・ウィーラセタクン、Zakkubalan、岩井俊雄、そして中谷芙二子。例えば、高谷史郎との協働による作品は、2011 年の東日本大震災の津波で被災した宮城県農業高等学校のピアノに出合って作品化した《IS YOUR TIME》や、水や霧を重要な要素とした作品など5点が展示される。今回の展示ではまた、坂本の没後にこれまでの「async」シリーズを深化させた形で2023年に発表した大型インスタレーションを同館の空間に合わせて再構成した新作も発表する。 さらに、中庭では真鍋大度との協働によって、常に変貌を遂げる大都市・東京の目に見えないインフラの姿を映像と音で描き出す新作も発表される。「霧の彫刻」で知られる中谷芙二子とのスペシャル・コラボレーションもあり、屋外のサンクンガーデンで繰り広げられる霧と光と音が一体となった作品も大きな見どころだ。 「音を視る、時を聴く」という展覧会タイトルは、鑑賞者の目と耳を開きながら、心を揺さぶり、従来の音楽鑑賞や美術鑑賞とは異なる体験を生み出すことを示唆している。坂本が追求し続けた「音を空間に設置する」という芸術的挑戦と、「時間とは何か」という深い問いかけは、時代や空間を超えて、私たちに新たな視座をもたらし、創造と体験の地平を開き続けてくれることだろう。 <開催概要> 『坂本龍一|音を視る 時を聴く』 会期:12月21日(土)~2025年3月30日(日) 会場:東京都現代美術館 企画展示室 1F/B2F ほか