日銀政策変更で高成長時代到来、銀行や建設株買い増し-エバーリッチ
(ブルームバーグ): 日本銀行の金融政策修正を期待して銀行株に強気な姿勢を取ってきたファンドマネジャーは、修正後銀行株の買い増しを視野に入れているほか、好景気の恩恵を受ける建設株にも追加投資するタイミングをうかがっている。
エバーリッチ・アセット・マネジメントの宇田豊社長は、銀行株はすでに運用資産の20%程度を占めていることを踏まえ、状況を見ながら買い増す可能性があると説明、「減ることはない」と話した。出遅れているセクターへの投資も進めるとし、株価の割安さに加えて国土強靭(きょうじん)化や防衛関連施設の建設などで恩恵が見込まれる建設株が魅力的だとみる。現在は大林組や鹿島に投資をしていると言う。
ブルームバーグのデータによると、同氏が手掛ける運用額約174億円のニッポン・グロース・ファンドは年初来リターンが22%以上で、同業ファンドの96%を上回る。同期間のTOPIXの上昇率は18%だ。同ファンドの組み入れ上位銘柄は2月末現在、伊藤忠商事や三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、三菱商事、オリックスとなっている。
日銀は19日の金融政策決定会合でマイナス金利を解除し17年ぶりの利上げを行うことを決めた。金利上昇が収益を押し上げる銀行株は解除を織り込んで上昇してきたため、結果発表と同時に緩和的な環境継続が明記されたこともあって材料出尽くし感から下落に転じた。宇田氏は追加利上げは6-9月に1回、年内にもう1回と予想。「今後2年間、金利上昇は避けられない」と述べ、出尽くしとの見方を一蹴した。
銀行株買い増しに慎重論、日銀政策修正織り込み-金利との相関下がる
50年以上にわたり日本株の分析や投資に携わってきた宇田氏は、経済成長のけん引役はこれまでのITからインフラ投資などにシフトし、インフレが進むと読む。人手不足にもなって物価の上昇が継続、現在0.7%台の長期金利は2年以内に1.5-2%に上昇するとみている。