「交流戦全試合ヒット継続中」!...日ハム・水谷瞬の野球人生を変えた「恩師の助言」
みずからを変える勇気
「水谷は打つポイントが近くなりすぎるという、バッティングの課題をずっと抱えていました。それで打球がなかなか上がらなかった。 空振りしてもいいからポイントをもう少し前にしてみろと言っても、感覚をすごく大事にするタイプなのでなかなか変えない。人間的にはめちゃくちゃいいやつなんですけど、野球に関しては頑固なところがある。 それも大事ですけど、そのときは一歩、踏み出さないと変われないと思いました。それで3月に関東へ遠征に行って試合を重ねた際に、ひたすらそのことを厳しく言い続けたことをよく覚えています」 遠征中はまだ自分の枠から脱却できなかったという。それでも戻ってからの練習の中で、変化が見て取れた。 「ティーバッティングをするときにポイントを前にして打ったりして、本人に聞いてはいませんが、少しずつ手応えがあったんじゃないですかね。そこから前からくるボールやピッチャーが投げるボールに対しても少しいいポイントで打てるようになりました」 踏み出した勇気は、春の県大会の結果となって表れた。4番にも座り、大事な準決勝、決勝でホームランを連発して優勝に大きく貢献した。さらに続く中国大会は初戦で敗れたが、この試合でも一発を放って3試合連発。 プロのスカウトが石見智翠館グラウンドを訪れるようになった。
守備の意識も変化
「スカウトの方たちが見に来てくださるようになって、本人も頑張ればひょっとしたらプロに行けるかもしれないという感じになっていったと思います。夏は決勝で敗れましたが、大会中盤から調子を取り戻してホームランも2本打った。 私は大学で力をつけてからでもいいのかなと思っていましたが、本人が勝負したいとプロ志望届を出すことにしました」 そして、プロへの扉が開かれた。5年間かかったが、1軍への入口も切り開いた。その道を、まだ走り出したところだ。 「野球はずっといい状態を続けられるわけではないので、シーズンを通して活躍するためにもっともっといろいろなことを勉強して、経験してほしい。守備ももっと頑張らないといけないですよね。高校時代はコーチがつきっきりで教えたりもしたんですけど、守りへの意識は甘かった。でも、今はだいぶ変わってきたように見えますし、脚力があるのでもっとやってくれると思います。 今はまだ調子がいいから使ってもらっていますけど、調子が悪くても使ってもらえるような、本当にチームに必要とされる選手になってもらいたいです」 ・・・・・ 【さらに読む】OBも「怖くてできない」と驚愕…日ハム・新庄監督の采配には、昨季との「大きな違い」があった!
週刊現代(講談社)/鷲崎文彦