国立公園の歩道5割、管理者不在 登山道荒廃、災害対応にも課題
全国に34ある国立公園内の登山や散策に利用される歩道全1127路線のうち、整備や保全を担う管理者が設置されていない路線が50%の561に上ることが26日、環境省の調査で分かった。国立公園であるにもかかわらず、管理者不在で荒廃が進む登山道が各地にあることや、災害時に迅速な対応ができないなどの課題が浮き彫りとなった。全国規模の詳細な実態把握が行われたのは初。共同通信が情報公開請求し入手した内部報告書で明らかになった。 国立公園の登山道を巡ってはボランティア頼みの維持の常態化や、行政が現地の詳細な状況を把握しておらず適切な危険表示ができないといった問題が指摘されてきた。 国立公園の管理は国が自然公園法に基づき、自治体や民間と連携して行う。公園内の歩道の保全や修復を担う「事業執行者」と呼ばれる管理者には自治体や環境省がなる場合が多いが、民間事業者が指定されたり、人が繰り返し歩くうちに自然にできた道で不在となったりするケースもある。
環境省は昨夏に実態把握に乗り出し、今年3月に報告書をまとめた。