ネタニヤフ首相のラファ侵攻計画に逆風、イスラエル内からも反対論
(ブルームバーグ): 米国の圧力を受けてイスラエルの一部要人が政府に対し、パレスチナ自治区ガザ南部ラファへの侵攻計画を放棄し、戦闘休止や人質解放を優先すべきだと働き掛けている。
イスラエルはイスラム組織ハマスがガザ南部のエジプトとの国境を通じて兵器を調達しているとみている。この国境を閉鎖することで兵器の流れを断ち、ハマスを無力化させることができると要人らは主張。この方法でなら、ラファに避難する100万人を超えるパレスチナ人を守ることにもつながり得る。
イスラエルのネタニヤフ首相は、ラファ侵攻がハマスを打倒する唯一の方法だとの主張を頑として続けている。同国政府によると、ラファにはハマスの戦闘員約5000~8000人から成る4個大隊に加え幹部らが潜み、多数の人質も捕らえられている。
ネタニヤフ氏と側近のデルメル戦略問題相は今週、米国との緊迫した協議も含めてこの主張を繰り返した。
だが、イスラエルが食料支援団体の車列を誤って空爆し7人が死亡したことで、民間人の犠牲や伝染病の拡大、飢餓の恐れなどに対する国際的な懸念が高まり、一部は行動を起こした。バイデン米大統領は4日、民間人保護を徹底させない限り米国はイスラエルへの支援を再考するとネタニヤフ氏に伝えた。
バイデン氏、イスラエル支援は民間人保護次第-ネタニヤフ首相に警告
イスラエル戦時内閣メンバーのガンツ前国防相とエイゼンコット元軍参謀総長の顧問を務める元軍情報機関トップのアモス・ヤドリン氏は、ラファの4個大隊打倒は重要だが、ラファとエジプトの国境封鎖の方が優先度が高いと説明。
「4個大隊は包囲できる。戦争を本当に終結させ、人質を取り戻したいと考えるなら、できることは多い。戦争の2つの目標、テロを二度と起こせないくらいのハマスの弱体化と、人質全員の解放は達成可能だ。そこでわれわれは勝利を宣言し、イスラエルの再建を始めることができる」とヤドリン氏は語った。