初代門司駅の関連遺構、北九州市に撤去工事中止求める声明文…イコモス国内委「市民・国民の文化権奪う」
北九州市門司区の複合公共施設建設予定地で出土した初代門司駅の関連遺構を巡り、市が月内にも遺構の撤去作業を始める見通しとなっていることを受け、国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の諮問機関「国際記念物遺跡会議(イコモス)」の国内委員会は20日、市に工事中止を求める声明文を提出した。 【写真】初代門司駅の遺構(手前)。奥の建物が現在のJR門司港駅(北九州市提供)
市は遺構を記録保存して取り壊し、老朽化している区役所などを集約した複合公共施設を整備する方針。今月15日から造成工事に着手しており、月内にも遺構の撤去に入る見込みだ。
この日は、同委員会の溝口孝司副委員長が市役所を訪れ、市の幹部に声明文を提出。声明文では「遺構の解体は、市民、国民が歴史を正しく理解し文化財に接する文化権を、行政が侵害し奪うもの」と抗議し、工事の中止を求めている。
武内和久市長は報道陣の取材に対し、「(声明文の)内容について精査をさせていただきたい」と述べた。溝口氏らと同日面会し、従来の要望を改めて受けたとした上で、「いろんな意見を伺いながら、最適な解を見いだしていく」と話した。
イコモスは9月、遺構の保存を求める「ヘリテージ・アラート」を出しており、市は一部の移築保存も含めて検討している。