【MotoGP】BMWの新CEO、MotoGPへの参戦を「注意深く検討」と言及。2027年新ルールで6メーカー体制に?
BMW二輪部門の新CEOが、MotoGPへの参戦の可能性を検討していることを明らかにした。 【ギャラリー】スズキ最後のMotoGPマシン……『GSX-RR 2022年型』を隅から隅まで BMWはこれまで、MotoGPに参戦していないメーカーとしては最も有名な企業だろう。以前まで彼らは自社の製品を販促する上で、MotoGPが適切なプラットフォームではないと感じているという姿勢をとってきた。 しかし、昨年末にBMW Motorradの新しいCEOとなったマーカス・フラッシュは、2027年に導入予定の新レギュレーションをきっかけに、MotoGPへの参戦の可能性を排除しないようになった。 フラッシュCEOはドイツの“Motorrad”に対し、MotoGP参戦について次のように語った。 「BMW Mは長年にわたってMotoGPの車両パートナーを務めている。BMW Mのボスとして、私は全てのレースをチェックしており、担当者のことも知っている。我々はそこにおいて、プレゼンスのあるブランドなんだ」 「しかし、それが我々にとって意味のあるモノである必要があることも明らかだ。だからこそ、我々はそれを注意深く検討している。私はそれを排除するつもりはない」 BMWはスーパーバイク世界選手権(WSBK)に既にファクトリー体制で参戦し存在感を示している。ただこれがMotoGPともなれば、そのプログラムは遥かに大きなスケールになってくるだろう。 なおBMWはWSBK以外にも、鈴鹿8耐を含むFIM世界耐久選手権やドイツのIDMシリーズなどでも、存在感を示している。 「我々は世界耐久選手権やIDMらと、それが唯一のコミットメント先であり続けるのか、あるいは他のフォーマットも選択するかどうかにも注目している」 フラッシュCEOのMotoGPに対する視点は、前任のマルクス・シュラムのものとは対照的なモノだ。シュラムはMotoGP最高峰クラスへの参戦については、あらゆる話を避けてきた。 ただシュラムは二輪レース自体に対して熱心でなかったわけではない。2019年にWSBKへ復帰する決断を下したのも、彼のリーダーシップのもとで行なわれたことだ。 BMWのWSBKプログラムは徐々に成長しており、ファクトリーチームは今シーズンのライダーとして2021年王者のトプラク・ラズガットリオグルを獲得。復帰後初のドライコンディション勝利を目指している。 フラッシュCEOはBMWの高性能ロードカー部門での長いキャリアを持っており、彼のもとでモータースポーツ部門をMブランドに統合している。 フラッシュCEOは自身を「モータースポーツの絶対的な賛同者」と表現した上で、さらにこう付け加えた。 「BMW Mのトップとして、私はBMW M GmbHとBMW Motorsportを統合することを決定した」 「私にとって、よくできたモータースポーツがブランド力とブランドコミュニティにおける熱狂に本当に貢献しているというのは、議論の余地が無いものなんだ」 なおBMW内部では今後更に変化が続く。二輪モータースポーツの現在の責任者であるマーク・ボンガースが6月以降はWSBKに全面的に集中することになり、BMW Motorradのレーシング部門はスヴェン・ブラッシュが率いることになる。 こうした変化についてフラッシュCEOは「あるシリーズか別のシリーズかの決定を、早まって判断するものではない」と語る。しかし、BMWにとってWSBKが「唯一の選択肢ではない」とも明言している。 BMWがMotoGPに参戦する可能性についての話題は、2022年限りでスズキが撤退したことと無関係ではない。メーカーの減少に対し、シリーズを運営するドルナは再び6メーカーを揃えたいと考えているのだ。 前述のようにMotoGPは2027年にレギュレーション変更を控えている。現状判明しているのは、エンジン排気量が850ccへと縮小され、合わせて100%持続可能燃料が導入されるという案だ。このふたつの大きな変更により、新規参戦に手を挙げるメーカーが出てくることが期待されている。
Rachit Thukral