摘発続く違法賭博店、カジノ合法化でギャンブル環境は改善できるのか
カジノが合法化されるとどうなる?
このような違法カジノ店の経営ですが、前出の警察庁による摘発統計によると、ここ数年で検挙された違法賭博店の約半数程度が暴力団が経営に関与するものであり、彼らの直接的な資金源となっているとされています。一方、暴力団によって直接経営されていない違法カジノ店も、その多くが「みかじめ料」のような形で暴力団に何らかの利益供与を行っており、その収益が反社会的組織に還流しているという点ではこちらもあまり変わらないと言えます。 一方、今回のバドミントン界で起こった問題を通じて、カジノを合法としていない我が国においても、カジノというものは非合法な厳然たるものとして存在していて、そこで得られた収益が地下経済に流れ込み、反社組織の資金源となっているのではないかという点です。現在、国会に提出されているIR推進法案はそのように現在「地下」に向かって流入している資金を白日の下に引き出し、「表」の経済活動として認めていこうとする法案なのではないでしょうか。 また、カジノが合法化の最大の利点は、ギャンブル依存など、そこから発生し得る様々な社会的な負の影響に対して、制度的な対処が可能となる点です。 例えばお隣、韓国の合法カジノでは一定期間に繰り返し多数のカジノ利用を行うプレイヤーに対しては、その人物が依存症である/なしを問わず、強制的にカウンセリングを受けさせる制度が敷かれています。また、2005年にカジノを合法化したシンガポールでは、ギャンブル依存が疑われる者の家族から申請があった場合、当該人物をカジノ施設に入場させない仕組みが採用されています。 日本にもしこのような制度を採用したカジノが存在していれば、ひょっとすると今回のバドミントン界を巡って発生した問題は起こっていなかったのかもしれません。その点においては非常に残念な事件であったといえるでしょう。