”カピバラ界のプロゴルファー”河野祐輝、首位浮上 9個のバーディー決め「一種のすごい集中状態に…」【男子ゴルフ】
◇22日 男子ゴルフ ジャパンプレーヤーズチャンピオンシップ・バイ・サトウ食品第3日(栃木、西那須野CC) 今季ツアー初出場で、予選会(QT)ランク72位の河野祐輝(36)=NTT西日本アセット・プランニング=が9バーディー、1ボギーの64で通算19アンダーまで伸ばし、後続に2打差をつけて首位に立った。「カピバラ界のプロゴルファー」を自任する異色のベテランが、プロ17年目で初優勝を目指す。 カピバラに似ているとして若いころから「カッピー」と呼ばれ、自らカピバラ界のプロゴルファーを自任する、ゆるキャラのような36歳が、悠々とフェアウエーを闊歩(かっぽ)した。セルフカートを押しながら、ひょうひょうと9個のバーディー(1ボギー)を決めた河野は「なんなんでしょう、一種のすごい集中状態に入ってたんでしょうか」と、まるで人ごとのようだ。 特にアウトはパーが2つだけで、あとはすべてバーディーという、圧巻の29。アイアンがトップ気味に当たったと思ったら2メートルについていたり、10メートルがカップに吸い込まれたりと、すべてがうまくいった。初日に右足を痛めながらも8アンダーを出し、「足をかばって力が抜けたのが、よかったのかなあ」と言ったことが少し話題になったが、得意のショートアイアンがさえまくる。好調は本物だった。 カッピーの趣味は、アニメ。今週は「ワンピース」の主題歌「最高到達点」(SEKAI NO OWARI)を移動の車の中で聞き続け、頭の中で1日中ずっと鳴っているという。プレー中も「俺の最高出しときゃいいか」と、つぶやいていた。 最終日は、最終組で初めて石川と回る。「プロになったんだから、記念に回ってみたかった。友達に自慢できます」。自身より3つ年下だが、しばらく前に「お久しぶりです」と気軽に声をかけられ、「覚えてくれていた。好きっ」と感じてしまった。ちなみに同郷の松山英樹(レクサス)とは、11年前の日本プロ最終日に最終組で一緒に回っており「これで(有名な)2人と回れることになる。すごいなあ」と、喜びもひとしおだ。 最終日の最大の敵は、朝から予想されている雨。セルフプレーのため、傘をさす作業も、すべて自分でやらなければならない。「すでに、右肩がだいぶ痛い。今から治療に行ってきます」。本物のカピバラも、雨は苦手とか。カッピー、最後のピンチを乗り切れるか。 ▼河野祐輝(こうの・ゆうき) 1988年5月20日生まれ、松山市出身の36歳。171センチ、75キロ。12歳からゴルフを始め、香川西高卒業後に1年間、オーストラリアにゴルフ留学。帰国後の2008年、プロ転向。12年に下部ツアーで2勝して賞金王。13年に初シードを獲得したが、1年で陥落。好きな食べ物は、たこ焼きときのこ汁。独身。 ◆カピバラ テンジクネズミ科の齧歯(げっし)類。南米のアマゾン川流域など温暖な水域に生息する。体長は1メートルほど。体毛がたわしのように硬い。水辺にある植物や、野菜などを食べる。日本では動物園などで飼育され、子どもたちに大人気。
中日スポーツ