【追悼’23】財津一郎さん 本誌が見たゆうこりんとのアニソンデュエットでの"プロ魂"
俳優でコメディアンの財津一郎さん(享年89)は’23年10月14日に慢性心不全のため亡くなった。 【ナマでは知らないかも】財津一郎さんとゆうこりんが2人で決めた"あのポーズ" 財津さんは高校卒業後に熊本から上京、劇団などを経て’62年に吉本興業入りして新喜劇などで活躍した。同時期に藤田まこと主演の大人気コメディ番組『てなもんや三度笠』で抜いた刀の刃を蛇のように舐め回す怪しい浪人・蛇口一角役で出演し、「ヒッジョーにキビシ~ッ!」や、「助けてチョーダイ!」のギャグで一世を風靡する。 ’70年代以降は俳優としても活躍、コミカルな芝居だけではなくシリアスな演技も評価されて大河ドラマや朝ドラまで数々の作品で活躍した。また、財津さんといえば「ピアノ売ってちょうだ~い!」のフレーズでおなじみの『タケモトピアノ』のCM。’00年からずっと変わらないこのCMは「赤ちゃんが泣き止む」不思議なCMとしても有名だ。 そんな財津さんを本誌が取材したのは、’07年にゆうこりんこと小倉優子(40)と人気アニメ『ケロロ軍曹』(テレビ東京系)主題歌のデュエット曲『帰ってきたケロッ!とマーチ』をレコーディングしていたときのことだった。 実はこの日が2人とって初顔合わせ。「歌は苦手で、朝から緊張しすぎて何も食べられなかった」というゆうこりんに、財津さんは、 「マーチは、元気がよければダイジョ~ブッ!」 と大きな声で激励。いざ、歌い始めてみればデュエットは完璧で、財津さんは、 「練習したのがよ~くわかる。エライッ!」 とベタ褒めだった。 「財津さんは、ゆうこりんをずっと笑顔で励まし続けていました。一方で自分のパート練習になると、“ケロケロケロ”のカエルの鳴き声が『納得できない。もっといい声が出る!』と何度も自分にダメ出しをしていました。プロ根性に脱帽した記憶があります」(本誌取材記者) ’11年の『3年B組金八先生ファイナル』の出演を最後に仕事からは遠ざかっていた財津さん。自身も心臓の病気などを患いながらも’19年に右手首を骨折した4歳年上の妻・ミドリさんを’20年に看取るまで介護していた。その後も病とつきあいながら、掃除や洗濯など身の回りのことはやっていたという。楽しみは月に1度のゴルフで『週刊新潮3月30日号』のインタビューでは次のように語っている。 《始めたのは50代と遅かった。でも、先日は87で回ったんですよ。コースを回るのも楽しいけれど、緑の芝と樹木、青い空というゴルフ場の景色にいつも感動していますね》 財津さんが亡くなったあとの11月2日、Xで「タケモトピアノのCM」が突如、トレンド入りするという出来事が起こった。実はこの日に放送された日本シリーズの中継でタケモトピアノのCMの新バージョンが流れたのだ。実は偶然にも財津さんが亡くなる直前、9月に契約が終了していたのだという。 「ピアノ売ってちょうだ~い!」の部分が女性の声に変わった新バージョンCMに対して、財津さんの旧バージョンを懐かしむ声がネットに溢れたのだった。 ご冥福を祈りたい──。
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